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羽生結弦が語った、東北への思いと
「今季、現役としてやりたいこと」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「僕はソチの2年前まで仙台でスケートを続けていました。その後、世界のトップになるためにカナダに拠点を移しましたけど、今、金メダルを持って再び戻って来ることができました。僕がそれまで仙台でスケートを続けられていたのは、トリノ五輪で荒川静香さんが優勝してアイスリンクに補助金がおりるなど、支援があったおかげです。

 だから、これからは僕がそういう存在になれたらいいなと思いますし、東北のスポーツで施設に苦しむ人たちが笑顔になれるきっかけになれたらと思います。企業や県や市を含めて、少しでもスポーツが発展してくれるような状況になれば......」

 その1週間前、羽生は自身が企画・プロデュースしたアイスショーの『コンティニューズ ウィズ ウィングス』で、現役続行への強い思いと、次のシーズンへの意欲も語っていた。

「五輪終了直後は、自分の口から"達成感"や"幸福"という単語が多く出ていて、どうするかわからないと言っていましたが、今は意欲的に試合に出たいなという気持ちになっている」

 ジャンプに関しては、ケガをしている右足を大きく使うループやルッツ、フリップはジャンプを跳ぶ動作さえしていないため、その練習を始めた時の状況を見て再考する必要もあるかもしれないが、「グランプリシリーズから出場する気持ちになっている」という。

「プログラムに関しては、曲も何も決まっていないですけど、試合に出るというのは自分の中でしっかり決めているので、なるべく早く始動しなければいけないなと思っています。

 ただ、試合をやるにあたって、モチベーションとしてこれまでは『どうやって勝てるプログラムを作るか』なども含めて考えていましたけど、これからは自分がやりたいなと思う曲とか、自分が見せたいなと思うプログラムを考えながら選曲や振り付けを決めていきたいと考えています」

 勝負を意識するというよりも、自分の思いを込めて、プログラムを追求していきたいという思い。彼がこれまでの羽生結弦の演技を、今季どうやって昇華させていくのか──それを観られる楽しみも出てきた。

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