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宮原知子、坂本花織が今から1カ月で
ロシア勢に勝つために必要なこと (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha  能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 ジャンプが跳べた上で、さらに勝負を左右する重要なファクターになるのが表現力となる。とにかく自分の個性を前面に出していくことが大切であり、ジャッジを味方にするくらいの、爽やかで強烈なアピールが必要になるだろう。

 アピール度に関していえば、日本勢はロシア勢に比べていまひとつ足りない感もあり、この演技構成点をもう少しアップさせたいところだ。宮原のSP『SAYURI』とフリー『蝶々夫人』、坂本のSP『月光』とフリー『アメリ』は、それぞれ五輪の舞台でも映えるすばらしいプログラムになっている。ロシア勢のプログラムにも決して負けていない。本番までにさらに磨き上げていけば、面白い勝負が見られるに違いない。

 そして最後に言えるのは、何より宮原と坂本には、初めての五輪という舞台で、自分のためにも楽しんで滑ってほしいということだ。トリノ五輪でアジア人初となる金メダルに輝いた荒川静香は、五輪について「自分が楽しむことができた」と語っている。楽しいと思えれば、ほどよい緊張の中で、自分が持っている実力を存分に発揮できる可能性が高まる。

 2枚目の五輪切符を最後まで争って悔し涙を流した樋口新葉や同門の姉弟子である三原舞依らを思いやって、坂本は「選ばれた限りは日本代表としてもそうだし、他の人が行きたかった中で自分が行くので、そういう責任もあると思う。しっかり自分の演技ができたらいいなと思います」と話している。

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