モヤモヤする宇野昌磨。羽生結弦のいない「追われる立場」が影響か (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi  能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 後半の連続ジャンプはSPでは大きな得点源だ。しかし、GPファイナルのフリーでも後半に入れた4回転トーループは2本ともミスをしていた。

「さすがにトーループの失敗が多すぎますね。練習では9割くらい跳べていますが、簡単に跳べるジャンプだからこそ、いろんなことができてしまって失敗しているんじゃないかなと思います。ギリギリの(難易度の高い)ジャンプが成功するのは100%の力を入れるからかなと思うけど、そこが本当に課題ですね」

 練習では簡単に跳べるが、試合になるとどうしても力が入って回りすぎてしまうことは多い。今回もそれが出てしまい、「落ち着いて演技をしていれば、とっさにオーバーターンをして3回転トーループを跳べたと思うので、そこはもう試合と練習との違いかなと思います」と苦笑する。

 だが、この日の宇野は6分間練習から余裕がなかったともいう。「何だがわからないけど、思うようにいかなかった」と。そのために「気合を入れなければ自分がやりたいと思っていることができなくなる」と考えてしまった。昨季の世界選手権などで言っていた「緊張することもなく、練習通りにできただけという感覚しかない」という精神状態とはまったく違っていたのだ。

「4回転+3回転も1個目がうまく跳べていたとしてもコンビネーションをつけなければ大きな減点になるし、フリップもアクセルも自分のベストのジャンプからはかなり離れたものだったので、全体的にまだまだだと思います」と言う宇野。

 今年も昨年に続いて羽生結弦不在の大会となり、"追われる立場"という意識が強すぎたのか。それを問うと「そうなんですかね。去年も同じような感じで、終わったあとで『何で自分の演技や動きができなかったのかわからない』とコメントをしていたと思うので。それは自分が実感していないところで感じているものではないかなと思います」と答える。

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