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浅田真央を見守ってきた
佐藤信夫コーチが語る「スパイラルの魅力」 (3ページ目)

  • 辛仁夏●構成 text by Synn Yinha  岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 スパイラルは技術的に難しい技かというと、そういうわけではありません。バレエのアラベスクと同じように、基本動作のひとつと見ていいでしょう。トウシューズを履いてアラベスクのポジションでじっと制止しているというのはなかなか大変なことだろうと思いますが、フィギュアスケートでは基本ポジションのひとつとして、ちゃんとできなければダメですよ、というレベルのことだと思います。

 それでも、練習に次ぐ練習の繰り返しがなければ、滑りの中で流れのある動きはできません。ましてや、フィギュアスケートの原点である音楽に合わせて表現できなければ、人を引き寄せるような味わい深い演技にはならないでしょう。ですから、難しい技ではないと言いましたが、単純な技でもないのです。経験豊富なベテラン選手でさえも、何十回も転びながらの猛烈な練習を経て、さまざまなステップと組み合わせて流れるような滑りをものにしています。容易なようで奥深い技のひとつと言えます。

 基本形となるT字スパイラルには、向き不向きというのはあります。関節の柔らかい人、筋肉の柔らかい人は、いとも簡単にできるからです。だから一般的には女性のほうが取り組みやすい様子です。男性に比べると女性のほうが、身体が柔軟ですから、スパイラルのような姿勢を作ることはそんなに困難ではないでしょう。

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