羽生結弦が五輪用に選んだショパン。世界最高得点の時との違いを分析 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直/Fantsy on Ice 2017●撮影

 自己最高得点を出した時の4回転トーループ+3回転トーループはGOE加点で満点の3点をもらう出来だった。それと同じようなジャンプを跳べる手応えを得たことで、SPでの大きな得点源にしようと考えたのだろう。初日と2日目にミスをしていたという4回転ループを、最終日には完璧に決めてみせた。

 そして、2種類のスピンをこなした後は、複雑なステップから軽々とトリプルアクセルを跳び、続く4回転トーループ+3回転トーループもきれいに着氷。その瞬間、羽生は両拳を力強く握り、2度、3度と震わせて達成感をアピールした。その後もこれまで以上に気持ちの入ったステップを滑り、最後をスピードのあるチェンジフットコンビネーションスピンで締め、ノーミスで演技を終えた。

 常々、「アイスショーは今できるすべてを出し切って、その時々の観客のみなさんに感動してもらうのが自分の役目」と発言している羽生。今年のファンタジー・オン・アイスはあと2会場、神戸と新潟で開催される。羽生は1回1回の演技に全力で向き合い、修正を加えながらプログラムを完成に近づけていくはずだ──。
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