羽生結弦は新SPを連発。
アイスショーから見るスケーターたちの来季

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直/Fantsy on Ice 2017●撮影

 6月16日から3日間にわたって行なわれた新潟公演で、今年の全日程が終了したアイスショー、『ファンタジー・オン・アイス』。全公演を通じて来シーズンのショートプログラム(SP)『バラード第1番ト短調』を演じた羽生結弦は、最初の幕張公演の最終日以来、なかなかノーミスの演技ができていなかった。

ファンタジー・オン・アイス新潟公演で、『バラード第1番ト短調』を演じる羽生ファンタジー・オン・アイス新潟公演で、『バラード第1番ト短調』を演じる羽生 気合い十分で臨んだ新潟公演は、初日のオープニングで登場直後に軸がしっかりした4回転トーループを決めるなど、幸先のいいスタートを切った。しかし2日目の演技では、最初の4回転ループは着氷を少し乱すだけにとどめ、後半に入ってからのトリプルアクセルもきれいに決めたものの、その後の連続ジャンプでセカンドの3回転トーループ着氷時に転倒。演技後に苦笑いを浮かべながら両手を合わせ、観客に謝る仕草を見せた。

 だが、そこで終わらないのが羽生結弦。最終日は演技前から観客を大いに沸かせた。これまで、場内アナウンスと共に薄暗いリンクに登場する際には3回転ループを跳んでいたところを、この日はいきなり4回転ループを決めたのだ。その瞬間、彼の登場に拍手を送っていた観客からは悲鳴のような歓声が上がった。

 曲がかかった本番では、最初のループこそパンクして2回転になってしまったが、その後のスピンから気持ちを入れ直してトリプルアクセルを大きくフワッと決め、2日目に失敗した4回転ループからの連続ジャンプもきれいに着氷。感情のこもったステップシークエンスは、昨シーズンのSP『レッツゴー・クレイジー』を彷彿とさせるような鋭さと力があり、最後はスピードのあるコンビネーションスピンで締めて、納得の表情で演技を終えた。

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