女子フィギュア総括。ハイレベルな戦いの流れを作ったのは浅田真央

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Enomoto Asami/JMPA

 改めて女性の強さを思い知らされたような気がした試合だった。

 2月21日のソチ五輪フィギュアスケート女子フリーはハイレベルな争いを繰り広げた。男子フリーは、羽生結弦とパトリック・チャン(カナダ)の優勝争いと、9名の選手が僅差で競り合い、最終組までミスが続出する戦いだったが、女子はほぼノーミスの競演となった。

メダルセレモニーで笑顔のキム・ヨナ、アデリーナ・ソトニコワ、カロリーナ・コストナーメダルセレモニーで笑顔のキム・ヨナ、アデリーナ・ソトニコワ、カロリーナ・コストナー その先陣を切ったのは浅田真央だった。前日のショートプログラム(SP)が16位で、もう思い切り攻めるしかない状況。開き直った浅田は最初のトリプルアクセルを今季初めてクリーンに着氷した。その後も滑りや要素を丁寧にこなす。2度の連続ジャンプの後半は回転不足になり、3回転ルッツはロングエッジと判定されたが、スピンやステップはすべてレベル4の評価。彼女自身が「今出来る最高の滑り」という演技で、自身最高得点の142.71点を獲得したのだ。

 ただ、その技術点が73.03点だったのに対し、演技構成点は69.68点。ファイブコンポーネンツはトランディションが8.36点でそれ以外は8.75~86点。その詳細をみれば全項目で9.25~50点を出した審判がいる一方では、7.50~8.50点の審判もいるという状況。前半グループだったために得点が抑えられたという感も否めなかった。

 それでも合計得点は198.22点。SPは残酷な結果になったものの、フリーでは「浅田真央はまだ、浅田真央であり続けている」ということを強くアピールしたのだ。

 その勢いは優勝争いをする最終グループにも伝わった。SPを終えた時点での得点は、1位のキム・ヨナが74.92点、2位のアデリーナ・ソトニコワ(ロシア)が74.64点。さらに74.12点のカロリーナ・コストナー(イタリア)が続くという接戦。その後には68.63点のグレーシー・ゴールド(アメリカ)や65.23点のユリア・リプニツカヤ(ロシア)と65.21点のアシュリー・ワグナー(アメリカ)がいて、上位がミスを犯せばいつでもメダル争いに割り込めるという、緊迫した状況だった。

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