あれから4年。浅田真央と鈴木明子、ふたりの五輪物語 (2ページ目)
五輪本番前に、代名詞のジャンプを一度はクリーンに成功させたかったところだが、浅田のトリプルアクセルは"迷路"に迷い込んでしまったようだ。
「今回は公式練習からいいトリプルアクセルが跳べなくて、あっ、(トリプルアクセルは)どこいっちゃたのかな(苦笑)、という感じで本番に臨んでしまった。いま、自分がどうして跳べなかったのかは分からない。ただ、これから五輪本番までしっかりと練習して成功率を上げていくことが成功への道だと思います」
ソチ五輪で悲願の金メダルを獲得するためにトリプルアクセルを1本にしてプログラム全体の完成度を高める戦略に変更して勝負に徹するのか。はたまた、自分がこだわる2度のトリプルアクセルを跳ぶプログラムで「最高レベルの演技」を貫き、結果は気にせずに「満足のいく集大成の演技」を見せるのか。ソチ本番までの悩みどころでもある。
これについて佐藤信夫コーチは「今日のフリーはミスがいっぱい出てしまった。(GPファイナル前に再発した)腰に痛みがあるなど、体の方が思うように回復していなくて、GPファイナルが終わってからあまり練習ができなかった。そのツケが結果に出てしまった。トリプルアクセルに気持ちが偏りがちなので、今後はもう一度振り出しに戻って立て直していきたい。トリプルアクセルを2度跳ぶかどうかは、時と場合によって変わるかもしれないが、最終的には彼女の夢をかなえてあげたいし、トリプルアクセルが立て直せれば全体的にプログラムもいい具合にできてくると思う。プログラムにトリプルアクセルを2度組み込むことについてはもう少し様子をみたい」と、語っている。
それでも浅田自身は「戦略はない。自分が今やっているプログラムを成功させることが自分の一番の最終目標です。トリプルアクセルを2度跳ぶことは挑戦でもなく、あたり前だという風にしたいし、私にとってはチャレンジとかではなく、これが一番の基礎、ベースだと思っています」ときっぱり。今季試合では一度も成功させていない大技について、現時点での迷いは微塵もなかった。
2 / 3