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フィギュア男子、熾烈な五輪代表争いを制するのは誰だ (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 ふたりに続くのは、現時点では町田ということになるだろう。昨シーズン、終盤に調子を崩し、GPファイナルと全日本選手権で思うような結果を出せなかった町田は、今季、挑戦者の意識で臨んだという。そしてその気持ちが、アメリカ大会での優勝につながったといえる。

 懸念材料があるとすれば、その好発進が町田の演技にどう影響するかだろう。ロシア大会ではこれといったライバルが見あたらず、4位以内に入ればファイナルに進出できるため精神的に余裕もあるが、それが油断になる可能性もある。

 ロシア大会後のGPファイナル、全日本選手権はプレッシャーのかかる日本人同士の対決が待っている。そこで自信を持って戦うためにも、ロシア大会のフリーでは冒頭の4回転トーループと、アメリカで失敗した4回転トーループ+3回転トーループの連続ジャンプをきっちりと決め、納得できる演技をしておきたいところだろう。

 町田のアメリカ大会フリーでの芸術要素点は、フランス大会の羽生のそれを上回っている。いかにジャンプでの不安をなくし、「自分の武器」と公言する表現に集中できるかかが、高橋と羽生に迫れるかどうかのポイントになるだろう。

 その3人を追うのが、織田と小塚、無良の3人だが、その中で上位3人に最も近い位置にいるのが織田だ。GPシリーズ初戦のカナダ大会こそ固さがあったが、今シーズンはジャンプが好調。持ち前の躍動感を発揮できれば、代表に食い込む可能性は十分ある。ただし、GPファイナル進出を逃した場合は全日本選手権での一発勝負になる。

 また、織田に比べ、GPシリーズではもうひとつの結果だった小塚と無良は、全日本選手権にかけるしかない状況だ。ふたりとも、4回転ジャンプを確実に決めることが必要になる。小塚はバンクーバー五輪経験者として、また11年世界選手権の銀メダリストとしてのプライドを見せて、勝負をかけられるか。昨シーズンの世界選手権の代表だった無良は、攻めの滑りをどこまで貫けるかがカギになるだろう。

 SP、フリーともに完璧な演技でまとめることが難しいのが、フィギュアスケートという競技。大きな重圧がかかるGPファイナルと全日本選手権は、見ている側も緊張感で痺れるような大会になるに違いない。

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