浅田真央、村上佳菜子...それぞれの次のステップ

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

(左から)全日本選手権2位の村上佳菜子、優勝した浅田真央、3位に入った宮原知子(左から)全日本選手権2位の村上佳菜子、優勝した浅田真央、3位に入った宮原知子 激戦だった男子と比べると、全日本フィギュアスケート選手権での女子の戦いは、収まるところに収まったという結果になった。

 エース浅田真央はその牙城をしっかりと守り、ショートプログラム(SP)2位から、フリー1位の合計193.56点を出して、2年連続6度目の全日本タイトルを逆転で手にした。また、世界代表の顔ぶれも昨季と同じで、浅田を筆頭に総合2位の村上佳菜子、SP首位から総合4位に沈んだ鈴木明子となった。この3人には2014 年に行なわれるソチ五輪(ロシア)の出場枠(最大3人)を取るという大仕事が待っている。

 今季、GPシリーズ2大会とファイナルで3連勝という結果を残してきた浅田は、今年最後の試合となる全日本で「ミスのない最高の演技で締めくくりたい」と口にしていたが、SPとフリー、ともにジャンプで失敗して課題を残した。それも得意な3回転ループと3回転フリップでのミスだった。一方で、これまで苦手としていた3回転ルッツ(不正エッジ判定は取られたが......)とダブルアクセル+3回転トーループの連続ジャンプはきっちり成功させている。

 バンクーバー五輪以後、ジャンプの修正に取り組んできたここ2年間はスランプに陥ったが、今季は明らかにその修正段階で手ごたえをつかみ、ジャンプの質が向上してきたように見える。何らかの変化が浅田のジャンプで起こっているのは間違いない。ジャンプ直前に失速していたスピードがそれほど落ちなくなったこともそのひとつで、このことがタイミングのズレを生んでいると考えられる。まだ修正途上で、浅田本人も佐藤信夫コーチも「道半ば」というが、いまはまだ変化中のジャンプが安定感を増してくれば、ソチ五輪に向けてさらなる「向上とレベルアップ」は次の段階へと進むはずだ。

 そして、それは五輪金メダルを狙う上では必ず進まなくてはいけない段階でもある。この全日本でも、技術点の伸び悩みを露呈している。決して点数が低いわけではないが、世界のトップ選手と勝負するには少々心細い。今回、技術点だけを見るとSPでは4番目、フリーでは5番目の得点だった。3回転の連続ジャンプや難度の高いジャンプ構成で挑んできた若手に後れを取ったことは否めない。

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