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【プロレス】藤原喜明が明かす、長州力を襲撃した"雪の札幌事件"の真相 「『行け』って言われてやっただけの話」 (2ページ目)

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji

【襲撃事件を指示したのは?】

 試合は当然、不成立。それが今も語り継がれる"雪の札幌事件"の顛末だ。"首謀者"である藤原は、なぜ長州を襲ったのか?

 「それは、だな......長州が俺の彼女を寝取とったからだ。フフフフ」

 そんなジョークをかましたところから一転、神妙な顔に戻り、切り出した。

「本当かどうか知らないけどな、俺が聞いたところによると、どうやら(藤波か長州の)どっちかがケガかなんかで、試合ができる状態じゃなかったんだよ。だから、『行け』って言われてやっただけの話。俺が勝手にやったら、一発でクビだよ」

 藤原に指示を出したのは誰なのか。

「俺は新日本プロレスのレスラーだ。社長の命令には背けないわな。つまり、そういうことだよ」

 そんな事情など、会場にいた観客は知る由もない。ドル箱カードが台無しになり、札幌市中島体育センターは暴動が起きる寸前だった。新日本にとっても、今後の興行にマイナスの影響が懸念されたが、それは杞憂に終わった。

 前代未聞の襲撃事件を起こした藤原に注目が集まり、古舘アナウンサーは「テロリスト」の異名を名づけ、一気にスポットライトが当たることになった。マイナスが一瞬でプラスに変貌する、プロレスならではのダイナミズムだった。

 そして、1972年11月のデビュー以来、一貫して前座や中堅でリングを沸かせていた藤原が、メインイベンターに駆け上がった。それまで数回しか放送されてこなかった自分の試合が、毎週のようにゴールデンタイムで中継される。知名度も人気も格段にアップしたが、藤原の心境は変わったのだろうか。

「当時は人前に出るのが大嫌いだったから、メインだとか、そんなものに興味はなかったよ。俺は、飯が食えて、酒が飲めて、練習で好きな寝技ができれば天国なんだ」

 当時、テレビ中継が行なわれる試合では会場の照明が通常よりも明るかった。それについて藤原は「ライトがまぶしくて腹が立った......と言うのは冗談だけどな」とニヤリとしたあとに、こう続けた。

「俺は天狗になる男じゃない。第一試合だろうがメインイベントだろうが、やることと気構えは一緒だよ。俺は、何をやるにも一生懸命。こう見えて、けっこう真面目なんだよ」

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