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【プロレス】藤波辰爾から見たウルフアロンの新日本デビュー戦は何点? 「僕自身も技を受けてみたい」と対戦に意欲 (2ページ目)

  • 松岡健治●取材・文 text by Matsuoka Kenji

【猪木イズム、棚橋弘至の技も継承】

 まっすぐ一点を見つめてリングに向かう姿には"猪木イズム"を感じたという。

「猪木さんは、入場でお客さんに手を振ったり、アピールするレスラーがいると激怒していた。『勝負に向かう時に、お客さんにアピールするやつがどこにいるんだ!』と。猪木さん自身、そんな入場は一切やらなかったし、僕もその教えを受けているから今でもできません。

 同じようにウルフも、真っすぐ前だけを見つめてリングに向かっていましたね。勝負に挑む姿勢を感じましたよ。天国の猪木さんがあの姿を見たら、たぶん『合格だ』と言ってくれたんじゃないですか」

 入場時、花道へと続くステージに姿を現したウルフは、まず最初に身に着けた柔道着を脱ぎ捨てて、黒のショートタイツ姿へと変貌した。その"黒"は、師匠であり創始者である猪木の色でもある。

「柔道着を脱ぎ捨てることで、プロレスラーのウルフアロンになったことを印象づけましたね。何より、黒のショートタイツは猪木さんの象徴であり、新日本の伝統。あの黒を見た時に、猪木さんがリング上で見せていた技、怒り、形相などがプレイバックしました。

 あれは"黒"だから締まって見えたのかなと。もし、猪木さんが青や赤のタイツだったら、あの闘魂は伝わらなかったと思います。プロレスにとって色は、お客さんに与える印象が大きい。ウルフも黒だったから、技が締まって見えたし、気迫がストレートに伝わってきたように思います」

 試合では、序盤こそ"もたつき"も感じたようだが、その後の適応力に目がいった。

「初めての四角いリング。しかも初めて履くリングシューズ。柔道とは相手との距離感も違うから、最初はやりづらそうに見えました。だけど、すぐにペースをつかんだのには驚きましたよ。特に、組み合ってから投げたあとの動きが早かった。並外れたセンスを感じましたね」

 技のなかで藤波が驚嘆したのは、トップロープからのハイフライフロー。同じ大会で引退した棚橋弘至の必殺技を受け継ぐという思いを込めた飛行だった。

「コーナーポスト最上段に上るのは勇気がいるもの。目線の高さは3メートルぐらいになるから、怖くて普通なら目が回るはずです。飛ぶ瞬間には『体勢をどうしたらいいか?』などと考えてしまってフラつく危険もあるけど、彼は見事に飛んだ。練習してきたのかもしれないけど、実際の試合でなかなかできるものじゃないですよ」

 そして最後は、柔道技をアレンジした三角絞めで、EVILから失神TKOでの勝利を飾った。

「最後の技も、柔道で培った技を見事にプロレス技として進化させていた。入場から最後まで、デビュー戦としては合格じゃないかな。デビュー戦だから、普通は試合のどこかでお客さんがため息をつく場面があっても仕方がない。だけど、彼は終始、お客さんをリングに釘づけにした。採点すれば100点満点です」

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