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【格闘技】川尻達也がUFC時代に見出した勝つ形 日本人選手は苦戦中も「チャンピオンが出れば次世代が一気に続く」 (3ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

【日本と海外の環境の差】

――川尻さんが練習で特に重視していたのはどんなことですか?

「一発のパワーだけじゃなくて、それを何度も出せることです。スタミナという単純な言葉ともちょっと違うんですけど、回復力が大事。ハイパワーでアタックして、数秒で回復して、またハイパワーでアタックする。その回復力を高めることに一番フォーカスしていました」

――メラブ・ドバリシビリ選手(現UFC世界バンタム級王者)に代表されるように、近年のUFCでは、アタック数の多さが勝ちパターンのひとつであると思うのですが、川尻さんは早くから意識されていたんですか?

「UFC2戦目のクレイ・グイダ戦で負けて、『このままじゃ勝てない』と気づいたんです。日本だと、ひと呼吸置いて相手を見ることが多い。でも、UFCはその"間"がなく、常に1.2倍速で戦っているような感覚です。開始直後から『俺はこれをやる』と自分のやるべきことを押しつけてくる感じですね。

 この試合後に網膜剥離で1年休むことになったんですけど、そのタイミングで、相手のアタックを減らして、自分のアタック数を増やすことにフォーカスしてトレーニングをしました。あと、37歳から"正面からのタフさ勝負"をするのが厳しかったのもあります」

――その成果が出たと実感した試合は?

「3戦目のデニス・シヴァー戦だったと思います。タックルを何度も仕掛けて、トップをキープして3―0の判定で勝ったんですが、『俺がUFCで勝つならこういう形だ』と思いました」

――自身の足りない要素、試合の組み立て方をなどは自分で考えていたんですか?

「そうです。山田(武士)トレーナー(「JBスポーツ」代表/「チーム黒船」のトレーナー)のような専門のコーチはいましたけど、MMAをトータルでコーディネートするのは僕自身でした。今は海外だと、アメリカン・トップチームの堀口(恭司)選手のように、ヘッドコーチのマイク・ブラウンさんが全体を見てくれる場合もありますが、当時は自分で考えるのが普通だったんです」

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