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【格闘技】髙阪剛が語る朝倉海のUFC初勝利へのカギ TKO負けの愛弟子には「ヘビー級で闘ううえで大事なこと」を伝授 (4ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

――今回のヘビー級トーナメント、上田選手は唯一準決勝に進んだ日本人選手ということで、ファンの期待を一身に背負う形になりました。本人も優勝してライアン・ベイダー選手(元Bellatorヘビー級王者)と闘うことを熱望していたと聞いています。

「私もそれを想定していましたし、だからこそ悔しさも大きかったです。ただ、やはりそう簡単ではないなと思い知らされましたね」

――次戦のタイミングは想定されていますか?

「私も幹雄も今回の試合を経て、『時間をかけて積み上げたい』という意志を持っています。ですから、年内にもう1試合というのは現実的に厳しいかなと考えています」

――ヘビー級で外国人と闘う厳しさを、髙阪さんは身をもって経験されていますからね。

「そうですね。当時、自分の体重は100kgそこそこだったんですが、90kg台の外国人選手と真正面からフィジカル勝負をしようとしても、正直、勝てる気がしなかった。むしろ、80kg台の選手と張り合うくらいが限界で、『これが現実か......』と痛感させられる場面が何度もありました。だからこそ、フィジカルではなく、技術や戦略で勝つための手段を考え続けました。それが、ヘビー級で闘ううえで大事なことなんだと、身をもって知りましたね」

――そんな髙阪さんだからこそ、上田選手に伝えられることも多いのでは?

「そう思います。幹雄も、私がこれまでどういう経験をしてきたかを理解したうえで話を聞いてくれている、という感覚があるんですよ。だからこそ、今の彼に何が必要か、それを手に入れるためにはどういう練習が必要か、どんな時間を積み重ねるべきか、どんな経験をしていくべきかといったことも、しっかり伝えていきたいと思っています。MMAファイターとしての完成度を上げて、今までとは違う形の試合ができるようにしたいですね。たとえば、こちらから積極的に組みにいくとか」

――髙阪さんが以前おっしゃっていましたが、打撃、組み、寝技で穴がないことに加えて、勝負できる武器が必要になってくると。

「そうですね。MMAはどんどん進化していますから。創成期から関わってきた自分とすれば、それ自体はすごく喜ばしいことなんですが、今の選手たちは本当に大変だと思います(笑)。自分たちの時代は、一本"柱"があれば、なんとかなっていたこともありました。でも今、上を目指すには総合力が求められます。

 ひとつひとつ着実に積み上げていけば、必ず進化は見えてくると思います。少し時間をかけて、しっかりとレベルアップを重ねて、また新しい幹雄の姿をお見せできると信じています」

【プロフィール】

■髙阪剛(こうさか・つよし)

学生時代は柔道で実績を残し、リングスに入団。リングスでの活躍を機にアメリカに活動の拠点を移し、UFCに参戦を果たす。リングス活動休止後はDEEP、パンクラス、PRIDE、RIZINで世界の強豪たちと鎬を削ってきた。格闘技界随一の理論派として知られ、現役時代から解説・テレビ出演など様々なメディアでも活躍。丁寧な指導と技術・知識量に定評があり、多くのファイターたちを指導してきた。またその活動の幅は格闘技の枠を超え、2006年から東京糸井重里事務所にて体操・ストレッチの指導を行っている。2012年からはラグビー日本代表のスポットコーチに就任。現在は、RIZINで活躍する堀江圭功選手や上田幹雄選手らを指導している。

◆Twitter:@TK_NHB
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