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中谷潤人が振り返る「少し力みがあった」西田凌佑戦 井上尚弥超えへ「異常なことをやっていかないと到達できない」 (4ページ目)

  • 林壮一●取材・文 text by Soichi Hayashi Sr.

「異常なことをやっていかないと、上のステージに到達できないと感じていますから」

 LAキャンプが始まった折、中谷はそう言った。静かな口調だったが、彼の決意は確かなものだった。そして、キャンプ終了時には「異常だと感じたものが、普通になってきました」と笑顔で話した。

とてつもない量のスパーをこなした中谷(右) photo by Soichi Hayashi Sr.とてつもない量のスパーをこなした中谷(右) photo by Soichi Hayashi Sr.この記事に関連する写真を見る

「ああいう練習を乗り越えたので、初回から飛ばしても12ラウンドを戦い抜けるだけのスタミナもメンタルもあると確信しています。西田選手との試合では、自分のハードルを上げ、新しい中谷潤人を作り出していることを実感できました。成長し、幅も広がったと感じています」

 今回、中谷はファーストラウンドからエンジン全開で西田に向かっていった。もし、判定決着となったとしても、「あのままのペースで12ラウンドを戦えた」と振り返る。中谷の発した"異常なメニュー"をこなす理由は、もちろん"モンスター"井上尚弥(大橋)戦を見据えるが故だ。

 中谷は、これまでの歩みを回顧する。

「成功のカギは自分を律する力にあると考えています。ボクシングのトレーニングだけでなく、食事や睡眠、マッサージ、ストレッチなど生活全般で自己管理ができるかどうかが大きな差になるでしょう。トレーニング時の集中力も重要で、普段の生活でもひとつひとつ丁寧に物事をこなすことが大切です」

 バンタム級2冠チャンプとなっても、中谷は決して満足しない。中谷の当面のゴールは、"井上尚弥超え"だ。いかに自身に負荷をかけるか。刻一刻と、日本人頂上決戦のゴングは近付いている。

著者プロフィール

  • 林壮一

    林壮一 (はやし・そういち)

    1969年生まれ。ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するもケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。ネバダ州立大学リノ校、東京大学大学院情報学環教育部にてジャーナリズムを学ぶ。アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(以上、光文社電子書籍)、『神様のリング』『進め! サムライブルー 世の中への扉』『ほめて伸ばすコーチング』(以上、講談社)などがある。

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