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元・極真世界王者はRIZINヘビー級を盛り上げられるのか? セコンドの髙阪剛から見た上田幹雄は「まだまだ伸びていく」 (2ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

【目標はベラトール王者とのタイトルマッチ】

――上田選手は髙阪さんのジムに所属する選手ではありませんが、どんなペースで練習しているのでしょうか?

「毎週月曜日、私のジムの"プロ練"に必ず来ています。ほかの曜日にはシビサイ選手たちとも練習していて、試合前になれば自分も見に行ったりしていますよ」

――上田選手のRIZINデビュー戦の相手は髙阪さん(髙阪の1ラウンドTKO勝利)でした。そんな上田選手が教え子になるのは感慨深いのでは?

「戦った時、彼の能力の高さを実感しましたし、『こうすればもっと強くなれる、もっと勝てる』と感じるものがありました。今、それを一緒に実現しているのは、本当にうれしいことですね」

――映像からも、ふたりの関係性のよさが伝わってきます。

「先ほど話した距離設定もそうですが、コミュニケーションがしっかり取れていないと、選手側から『もっとこうしたい』という具体的な話は出てこないものです。一方通行じゃなくて、お互いの意見を交換できるいい関係を築けていると思いますね」

――"格闘技界の賢者"とも呼ばれる髙阪さんの経験とスキルを注ぎ込んでいるわけですね。

「そうですね。そして、彼なりに嚙み砕いて増幅させていくことが、少しずつできるようになってきています」

――その成長の過程を間近で見られるのは、楽しくて仕方ないのでは?

「楽しいです(笑)。『おっ、これもできるようになったか』『あの技も使えるようになったな』と、手応えがありますね。それは本人も感じていると思いますし、こちらもうれしいです」

――今回のヘビー級トーナメント(RIZIN WORLD GP 2025)はスダリオ剛選手が敗退し、勝ち残った唯一の日本人である上田選手にかかる期待は大きいと思います。

「本人も、トーナメントを優勝して、その先にあるライアン・ベイダー選手(現ベラトール世界ヘビー級王者)とのタイトルマッチを実現するため、すごくモチベーションが高いんです。あのレベルの選手とベルトを懸けて戦う。今はそれしか見えてない感じですね」

――そこを目指して、髙阪さんも取り組まれているということですね。

「最初の頃は、こちらの言葉を受け取れる状態ではなかった。でも今は、同じことを言っても受け取り方が全然違ってきています。やっぱり、『このタイミングでこれを身につける』という順番は大切。一気に飛躍させようとするのはよくないです。あとは、幹雄のよさを消したくない。これまで培った打撃の強みを活かしながら、MMAファイターとして成長していくのが一番理想の形だと思います。海外のヘビー級の選手と比べても、同じ型にはまらない選手になると思いますよ」

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