髙阪剛が振り返るクレベル・コイケの62秒での王者陥落「RIZINがシェイドゥラエフを怪物にした」 (3ページ目)
――シェイドゥラエフ選手にはフィジカルも強いですし、グラップリングも得意です。クレベル選手の"極め力"をそこまで恐れていなかったのでしょうか。
「それも大きいかもしれませんね。試合前の会見でも『逆に私が絞める、三角絞めは自分の得意技』とクレベルから一本を取る宣言をしていましたから。会見でのパフォーマンスの側面もあるかも知れませんが、実際に自信もあるはずです。たぶん、ガードポジションになっても下から三角締めを狙う、スイープして上を取り返すといったように、グラウンドの展開になっても問題ないと思っていたのでしょう。過去、三角締めで勝った試合もありますし、バックを取ってからの体のコントロールもうまくなっていますからね」
――どんどん強くなっているシェイドゥラエフ選手は、RIZINのフェザー級では頭ひとつ抜けた存在でしょうか?
「そうですね......。彼を攻略するために最低限必要なのは、あのレベルの試合運びを同じようにできること。そういった練習を積んでおくことです。彼のプレッシャーを受けて手詰まりにさせられてしまったら、結局は同じ展開になります。逆に、こちらがプレッシャーをかけ返すとか、カウンターを合わせるとか、あるいは"スカす"。要するに『何をしてくるかわからない』と思わせるような技術を持っていないと厳しいですね。真正面から戦って勝てる相手ではないでしょう」
【シェイドゥラエフはUFCでも活躍できる?】
――「フィジカルが強いウガール・ケラモフ選手と戦ったら......」という声もありますが、いかがですか?
「ケラモフ選手は少し粗さがあるんですよね。シェイドゥラエフ選手は、ちゃんと計算して試合を組み立てて、MMAをやろうとしています。試合の中でよかったことも悪かったこともすべて自分の中に取り込んで、『次にどう活かすか』を考えて行動している感じ。だからこそ強くなってきたと思いますし、"穴がない"ように映るんでしょうね」
――本当にとんでもない選手が王者になったと。
「本当にそうですね(笑)。仮に、"スタミナの怪物"みたいな選手が現れて、3ラウンドずっとアタックし続けられるなら、もしかしたら......とも思いますが、果たしてシェイドラエフ選手相手にそれができるのか......。簡単ではないです。シェイドラエフ選手の試合の作り方、コントロールの仕方は北米のトップ選手に近い。将来的にUFCに行く可能性もあると思います」
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