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髙阪剛が振り返るクレベル・コイケの62秒での王者陥落「RIZINがシェイドゥラエフを怪物にした」 (2ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

――穴がない選手になってきているのでしょうか?

「同じレベルの選手、あるいは、似たような試合ができる相手と戦った時にどうなるかは、ちょっとまだ分からない部分もあります」

――クレベル選手を右ストレートでダウンさせたシーンはどう見ましたか?

「シェイドゥラエフは、クレベル選手を手詰まりにさせているんですよね。クレベル選手は、蹴りで距離を作ろうとしていました。おそらく、シェイドゥラエフ選手が焦れて前に出て打ってきたタイミングで組みにいく、というのがクレベルの狙いだったと思います。

 ところがシェイドゥラエフ選手は、最初は距離で外していましたが、徐々に距離を詰めて、パンチでリターンを返し始めました。顔面こそ捉えませんでしたが、腕や肩、深い位置に当たっているんです。これが相当なプレッシャーになったはずです。そして『ここだ』と見極めて仕掛ける判断力と勇気は、完全に心得ている動きでしたね」

【クレベルの誤算】

――クレベル選手としては、ローと前蹴りで距離を取って様子を見たかった?

「そうしたかったのですが、うまく自分の距離を作らせてもらえなかった。彼も1発は被弾する覚悟で手を出して組みにいこうとしていたと思いますが、ロープを背負わされたところでもらったワンツーの右が効いてしまいました。

 クレベル選手は、被弾したところでシェイドゥラエフ選手が一気に距離を詰めてくる想定だったのかもしれません。ただ、シェイドゥラエフ選手が冷静で、距離をキープしたまま2発目の右を放った。脳が一度揺れている状態で、もう一発同じ強度のパンチをもらうと脳震盪が起きやすくなります。"セカンドインパクト"という状態ですね。おそらくシェイドゥラエフ選手は、それも頭に入れたうえで2発目を放ったんじゃないかと思います」

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