初代タイガーマスク・佐山聡はアントニオ猪木にイタズラも? 元東スポ記者が普段の「素顔」を明かした (3ページ目)
【藤波のヘビー級転向にも影響】
――タイガーマスクの登場は、新日本のあり方にも影響があったでしょうね。
柴田:そういえば藤波さんも、タイガーマスクの登場で煽りをくったひとりです。
――藤波さんは1981年12月、ヘビー級転向のためWWFジュニアヘビー級王座を返上しています。
柴田:あれは、ジュニアヘビー級でタイガーマスクの人気が出たから、会社から「ヘビー級に転向してくれ」と言われたそうですよ。
――猪木さんの後継者として、藤波さんをヘビー級に転向させたのではないんですか?
柴田:それもあったと思いますよ。ただ、団体にジュニアヘビーのヒーローがふたりいても......という感じだったんでしょう。もちろん藤波さんもすごかったですが、あの頃のタイガーマスクの人気は社会現象。会社としてもタイガーマスクを王者にさせたかったでしょうけど、ジュニアヘビーの王者は藤波さんでしたから、ヘビーに転向させたんでしょうね。
藤波さんは「会社の方針だからね」と寂しそうに言ってましたよ。無理に体を大きくしたから腰に負担もかかったし、のちの「こんな会社やめてやる!」という発言(※)には、その時のことも含まれていたのではないでしょうか。
(※)1984年2月3日、長州力とのWWFインターナショナルヘビー級選手権での発言。長州の入場時に藤原喜明が襲いかかり、試合はノーコンテストに。会場を去る際に、藤波が報道陣に「やめてやる!」と叫んだ。
ヘビー級に転向したら、猪木さんにかなわない。それは藤波さんが一番わかっている。そういう意味でタイガーマスクは、いろんな選手の人生を狂わせていますね。でも、藤波さんは今、70歳を超えても現役で頑張っていますね。黒のショートタイツでサポーターもつけない。あのコンデションを維持しているのは、ヘビー級に転向したことによる体作りの変化も影響しているでしょうから、結果オーライだと思いますよ。
――藤波さんのヘビー級転向で、それ以降の選手も「ジュニアヘビーで成功したらヘビーへ」という流れができたように感じます。
柴田:それはあるかもしれないですね。木村健悟、丸藤正道、内藤哲也、飯伏幸太、ケニー・オメガ、ウィル・オスプレイ、鷹木信悟......数々の選手がジュニアヘビーからヘビーに転向していますし。
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