PRIDEやRIZINを「声」で盛り上げてきたリングアナが語る、リハーサルで出場選手の名を呼ばない理由とは? (4ページ目)
【コール前にやる準備】
――ここ最近、東欧や中央アジアの難しい名前の選手が増えましたよね。ラジャブアリ・シェイドゥラエフ選手、カルシャガ・ダウトベック選手、ビクター・コレスニック選手、イルホム・ノジモフ選手......なかなか覚えられません(笑)。
太田 特にシェイドゥラエフ選手は言いにくいですね。担当になった時は、家で念仏を唱えるように何度も練習します(笑)。PRIDE時代は、イゴール・ボブチャンチンという選手がいて、ファンにはおなじみの選手になりましたが、最初に聞いた時は「ボブチャンチン!?」と驚きましたよ。
――難解な名前だと、最初はアクセントやイントネーションがわからないですよね。
太田 そうなんです。煽りVTRの立木(文彦)さんのナレーションを聞いて「あっ、そんな感じなんだ」と思う時もあります。煽りVの読み方がRIZINのオフィシャルだと思っているので、立木さんと、映像作家の佐藤大輔さんのペアが作るものに準じる感じです。
――そのほか、太田さんの事前準備で必ずやっていることはありますか?
太田 PRIDE時代は、コーナー、身長、体重、選手の名前を言うだけでしたが、それをすべて自分でメモしていましたね。RIZINが始まってからは、すごくきっちりとした選手情報を用意してくれるようになったので、自分で書くことはなくなりました。
でも、しょこたん(タレントの中川翔子)がコールをした2021年、東京ドーム大会(『RIZIN.28』)のバンタム級トーナメントの時だったと思うんですが......あの大会から選手を紹介する時の文言が増えたので、そこからはまた自分で書くようになりました。自分が強調して言いたい部分の文字を大きくしたり、「ここはひと息で言いたいから小さな文字にして一行で書こう」とか、そういう調整をしています。
――最近の選手コールは、身長・体重、戦績、肩書や異名を言った後に選手名と続きます。昔に比べてかなり長くなったと思いますが、リングアナとしてはいかがですか?
太田 読み手としては、身長・体重、名前だけよりも、情報が多いほうがありがたいです。「南アルプス市出身」(和田竜光選手)とか、「豊橋市出身」(朝倉未来選手、朝倉海選手、井上直樹選手)などは、言いにくくて大変ですけどね(笑)。ただ、少し長いほうが、自分の演出も含めてどう盛り上げるかを考える余地がありますからね。
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