中谷潤人vs井上尚弥は伝説の一戦を想起させる「超一流の戦い」アメリカの名トレーナーが語る夢のカード (3ページ目)

  • 林壮一●取材・文・撮影 text & photo by Soichi Hayashi Sr.

【中谷vs井上を望む声に思い出す、伝説のタイトルマッチ】

「ナオヤ・イノウエもまた、一級品。パウンド・フォー・パウンド1位を争うに相応しいチャンピオンだ。肉体的にも精神的にも、間違いなくトップ中のトップだ。イノウエとジュント、同じ国籍で無敗の世界チャンピオン同士が戦うなんて、夢のあるカードじゃないか。プロモーターなら、誰だって実現させたいよ。スーパーバンタムでやるのが、両者にとって最良だろう。

 しかし今、ジュントは118パウンドのバンタム級で、イノウエは122パウンドのスーパーバンタム級。イノウエが再びバンタムに落とすのは現実的じゃない。ジュントが一階級上げることになるだろうな。となると、イノウエ戦までに3、4試合こなす必要がある。

 技術的にどうこうじゃなく、122パウンドの体にすることが課題だね。ボクシングのスキルは、非の打ち所がないよ。その3、4戦で、ジュントの経験値もイノウエに追いつくんじゃないか。1年もしたら、とんでもないレベルに達すると私は見ている」

 ロブレスはしみじみと言った。

「このふたりのファイトは、日本のみならず、いつまでも世界中のボクシングファンの記憶に残るハイレベルなものとなるに違いない。超一流の戦いだよ。

 イノウエは、5月のルイス・ネリ戦でファーストラウンドにダウンを喫したね。結果的には圧勝だったが、序盤はやや自信を持ちすぎていたんじゃないか。『絶対にKOしてやる』という思いが強すぎたのかもしれない。ネリだって、左右のパンチに威力を持つ元世界王者だ。でも、イノウエはあれで目を覚ましたよね。

 イノウエはサウスポーとの試合が続いているが、ジュントは背が高く、リーチもあって、伸びるパンチを持っている。足も使えるし、接近戦での打ち合いだってできる。賢いうえに、シャープな戦いをする。これまでのサウスポーとはレベルが違う。ジュントのボクシングIQは高い。イノウエもそうだけどね」

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