東京女子プロレスのパワーファイター渡辺未詩が坂崎ユカの涙で気づかされたこと「ユカさんは世代交代を望んでいない...」 (4ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

【東京女子プロレスという「マラソン」の先頭へ】

 今年1月6日、新宿FACE大会にて、山下が持つプリンセス・オブ・プリンセス王座の挑戦権を賭けたバトルロイヤルが行なわれた。渡辺は5選手による闘いを制して挑戦権を得た。そして3月31日、両国国技館大会で山下とタイトルマッチを行なう。

「初めて山下さんとシングルで闘った日(2018年6月27日)に思った、『山下さんを倒したい』という目標を大切にしたい。ただただ、私が山下さんに勝ちたいという感情なので、世代交代という見方はしていないし、しないでほしい」

 渡辺は「東京女子プロレスはマラソンだ」と考えている。最初はずっと山下が先頭を走っていて、次に坂崎と中島が先頭を走り、辰巳やハイパーミサヲがいて、瑞希が入って来て、瑞希が坂崎を追い抜き、今はまた山下が先頭を走っている。渡辺はずっと一番後ろを走っていて、2022年の夏に一瞬並んだが、そこからまた猛スピードで先輩たちが走り始めた。渡辺も「山下さんはまだ背後からしか見えない」と話す。

 山下のことは、2022年の東京プリンセスカップ準決勝で一度倒している。そういう意味で、今度のタイトルマッチで再び"並ぶ"ことはできるかもしれない。しかし彼女を追い越して、その後も先頭を走り続けるためには、3月31日までに今よりもっと成長しなければならないと感じている。

 東京女子プロレスの選手にインタビューをすると、「東京女子が大好き」と口を揃えて言う。本当に全員が同じことを言うので、こちらが困ってしまうくらいだ。

「東京女子って、ただただ幸せしかない空間なんですよ。みんながキラキラしていて、嫌なものとか嫌なこととかが一切ない。純粋に、『もっと強くなりたい』『もっとキラキラしたい』と頑張っている人たちの集まりなんです」

 子供の頃からアイドルに憧れていた渡辺。アイドル兼プロレスラーとしてデビューして、最初はプロレスが嫌いでしかたなかった。毎日泣いていた。しかし気がつけば、彼女の中で「アイドルとプロレスは同じもの」という認識になっていた。どちらもファンが応援してくれる中で、ファンに向けて届けている。それが歌っているか闘っているかの違いだけで、彼女の中ではまるっきり同じものだ。

「夢はなんですか?」と聞くと、「東京女子プロレスでみんながずっと幸せに生きていくこと」と答える。そんなイノセントな夢を語るプロレスラーがほかにいるだろうか。渡辺未詩が先頭を走るマラソンを見てみたいと、心から思った。

【プロフィール】
●渡辺未詩(わたなべ・みう)

1999年10月19日、埼玉県生まれ。159cm。2017年8月、「アップアップガールズ(プロレス)」のオーディションに合格し、8月27日、@JAM EXPOでステージデビュー。2018年1月4日、東京女子プロレス後楽園ホール大会にて、ラク&ヒカリvs.ヒナノ&ミウ戦でプロレスデビューを果たす。2019年11月3日、辰巳リカとのタッグ「白昼夢」でプリンセスタッグ王座を戴冠。2022年10月9日、インターナショナル・プリンセス王座を戴冠。2024年1月6日、山下実優の持つプリンセス・オブ・プリンセス王座の挑戦権を賭けたバトルロイヤルで5選手による闘いを制し、挑戦権を得た。X:@uug_p_miu

【大会情報】
■大会名:GRAND PRINCESS '24
■日時:2024年3月31日(日)開場13:00 開始14:00
■会場:東京・両国国技館
■対戦カード
プリンセス・オブ・プリンセス選手権試合
<王者>山下実優 vs. 渡辺未詩<挑戦者>
※第13代王者4度目の防衛戦。
※ほか数試合予定。

詳細はこちら>>https://www.ddtpro.com/schedules/21824

【大会情報】
■大会名:GRAND PRINCESS '24
■日時:2024年3月31日(日)開場13:00 開始14:00
■会場:東京・両国国技館
■対戦カード
プリンセス・オブ・プリンセス選手権試合
<王者>山下実優 vs. 渡辺未詩<挑戦者>
※第13代王者4度目の防衛戦。
※ほか数試合予定。

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