東京女子プロレスのパワーファイター渡辺未詩が坂崎ユカの涙で気づかされたこと「ユカさんは世代交代を望んでいない...」 (2ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

【肉体改造し、パワーファイターとして開花】

 11月17日、新木場大会で乃蒼とタッグを組み、マジカルシュガーラビッツ(坂崎ユカ&瑞希)が持つプリンセスタッグ王座のベルトに挑戦。敗れたものの、初めてタイトルマッチを経験して「ここを目指せばいいんだ」という明確な目標ができた。技術はまだまだ足りないが、自分にはパワーがある。パワーを活かせば上に行けるかもしれないと考えるようになった。

自身のレスラー人生を振り返った渡辺未詩  林ユバ●撮影 photo by Ozaki Mugiko自身のレスラー人生を振り返った渡辺未詩  林ユバ●撮影 photo by Ozaki Mugikoこの記事に関連する写真を見る

 12月31日、アプガプロレス初の単独ライブが決まった。1カ月間前から、メンバーそれぞれが単独ライブに向けて何かに挑戦する企画が始まった。ラク(現「らく」)はチョップ強化、ヒカリは動画撮影。渡辺に言い渡されたのは「肉体改造」だった。

「その時もまだ筋肉をつけるのが嫌すぎて、毎日泣いてたし、プロテインも隠れて捨ててたくらい。でも自分はパワーで生きていかなきゃいけないと思って、とりあえず3日、とりあえず5日みたいに続けてたら、1カ月、毎日ジムに通えたんです。かなり体が変わって、褒められるとすごい嬉しくて。ジムと道場と家の往復の日々が始まりました」

 その単独ライブを機に、メンバーはリングネームを変更。「渡辺未詩」と名前を変えてからの、彼女の活躍は目覚ましい。2019年11月3日のDDT両国国技館大会にて、辰巳リカとのタッグ「白昼夢」で沙希様&操と対戦し、プリンセスタッグ王座を戴冠。2021年2月11日の後楽園ホール大会で、東京女子プロレス最高峰のタイトル「プリンセス・オブ・プリンセス王座」に挑戦。王者・辰巳に惜しくも敗れたが、見事なパワーファイターぶりを発揮した。

【「世代交代」という言葉の呪縛】

 2022年7月から開催された東京プリンセスカップで、渡辺は東京女子プロレス旗揚げメンバーの中島翔子、山下実優を下し、決勝に駒を進めた。決勝戦の相手は、やはり旗揚げメンバーのひとりである坂崎ユカ。ファンの間で世代交代の期待が高まり、渡辺もそれに応えるかのように「先輩の壁を越えられるように頑張りたい」とコメントした。

 8月14日に迎えた決勝戦は凄まじい試合だった。坂崎のプロレスは、いつもは強さの中にどこか相手を包み込むような優しさが感じられる。しかし、この時は違った。明らかに渡辺を本気で潰しにかかっていた。渡辺がジャイアントスイングを仕掛けると、坂崎は驚異的な腹筋の力で起き上がり、ブレーンバスターで返してみせた。

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