【武蔵×武尊】K-1ヘビー級で戦っていた憧れの武蔵を見て、武尊が磨いた必殺技とは? (3ページ目)

  • 松岡健治●取材・文 text by Matsuoka Kenji

武尊 子どもの頃は、武蔵さんの蹴りとか、(極真空手のブラジル人選手だった)フランシスコ・フィリオさん、グラウべ・フェイトーザさんの「ブラジリアンキック(股関節を内旋させてキックの軌道を変え、蹴り足を振り下ろす蹴り技)」を見よう見まねで、自分の感覚で練習していました。

 実は、昨年6月24日のパリでの試合(ベイリー・サグデンに5回KO勝利)も左ハイで倒したんですけど、あれは相手の死角からくる空手の蹴りです。試合が終わった時に、「空手時代の蹴りが自分の中に残っていたんだ」と思いました。

武蔵 あの試合は俺も見ていて、「あの蹴りは空手だな」と思ったけど、やっぱりそうやったんか。例えば、仮面ライダーの「ライダーキック」じゃないけど、自分で必殺技と思える武器があれば、試合で危ない状況に陥った時も起死回生で逆転することができる。ハイでもミドルでも、武尊くんの左からの蹴りは、まさに必殺技だと思うよ。

【K-1に参戦した時の苦労】

武尊 僕もそうですが、武蔵さんも空手からK-1に参戦して、顔面への打撃ありのグローブをつけての闘いに挑戦しましたよね。その時は難しかったんじゃないですか?

武蔵 空手からK-1に参戦する時は、「一度、完全に空手を捨てよう」と思ったよ。空手は接近して闘うけど、キックボクシングはそうじゃない。距離感がまったく違うから、キックのスタイルをイチから覚えようと思って、蹴り方も変えたね。

武尊 まさに僕も同じで、距離感がすごく難しかったです。グローブをつけて相手と対峙した時、パンチの距離になった瞬間に全然違いました。あと、なかなかガードも上げられなくて。イチからボクシングを習って徐々に変わっていきましたが、「空手で培った固定概念を壊さないと順応できない」と思い知らされました。

(2011年9月に)デビューした当初は、試合でもパンチをすごくもらって効かされることが多くて。蹴りでは勝てるのに、パンチの攻防になると押されちゃうので、「どうにかしないと」と思っていました。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る