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結婚後もハードコアマッチで味わう「生きてる感じ」。ハイパーミサヲは「らしくあらねばならない」という概念を破壊し続ける (4ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko
  • photo by 林ユバ

お客さんの反応がすべて

 子供の頃から絵を描くことが好きで、「表現したい」という気持ちが強かった。その根底にあるのは、世界への違和感だ。

「環境なのか生まれ持ったものなのかわからないですけど、世界とのズレをずっと感じていて。表現することでそのズレを緩和というか、作品に昇華してなんとか生きていかなきゃっていう。プロレスに出会っていなかったら、リアルに死んでたと思う。今、死ねない状況でなんとか生きて行くためには、プロレスをするしかない」

 プロレスの試合をしていて、純粋に楽しいと感じるかと尋ねると、「私にとってはお客さんの反応がすべてです」と答える。

「なんとかみなさんにチケット代金くらいは得をしてもらいたい。お客さんに楽しんでもらいたいというベースがあるから、なんでもできるんだと思うんですよね。かつ、自分が無の状態だった時にプロレスに感情を引き出してもらった経験があるから、かつての自分みたいな子に対して、自分も同じようなことができたらいいなという気持ちがあります」

 ハイパーミサヲにとって、プロレスは生きることと直結している。心にどうしようもない闇を抱えながら、それでも生きるために、彼女は今日もリングの上で叫ぶのだ。

「会場にお集まりの大きいちびっ子たち、こーんーにーちーはー! 東京女子プロレス、愛と平和を守るニューヒーロー、ハイパーミサヲのお出ましだー!」

(vol.9:身長149cmの桃野美桜は「全女」をきっかけにプロレスの道へ。「ピカーーーン!って、プロレスの神様が降りてきた」>>)

【プロフィール】
■ハイパーミサヲ

1990年1月3日、茨城県生まれ。165cm。青山学院大学文学部卒業後、引きこもり生活を送る中、東京ビッグサイトで開催されたDDT路上プロレスを観戦し、プロレスラーを志す。2015年2月28日、東京女子プロレス新宿FACE大会にて、MIZUHOと組み、対KANNA&木場千景戦でデビュー。2018年5月3日、後楽園ホール大会にて、葛西純とエニウェアフォールマッチで対戦。「東京女子プロレスの愛と平和を守るニューヒーロー」として、コミカルな試合を展開している。

■東京女子プロレスの秋の祭典!
『WRESTLE PRINCESS Ⅲ』
2022年10月9日(日) 開場13:00 開始14:00
東京・TOKYO DOME CITY HALL

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【画像】仮面の女子プロレスラー・ハイパーミサヲ フォトギャラリー

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