スターダム月山和香が、戦友の裏切りに抱いた困惑と怒り。コズエンのために「桜井まいに勝つまでは引退できない」 (3ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

7月のスターダム立川大会で、羽南(下)にスリーパーホールドをかける月山和香(上) Photo by 東京スポーツ/アフロ7月のスターダム立川大会で、羽南(下)にスリーパーホールドをかける月山和香(上) Photo by 東京スポーツ/アフロこの記事に関連する写真を見る もともと、負けず嫌いではないという月山。負けても悔しいという感情はあまりなかった。しかし桜井がコズエンを脱退してから、「桜井まいには絶対に負けたくない」と思うようになった。今はもうひとり、負けたくない相手がいる。マーベラスの宝山愛だ。

「デビューもそんなに変わらないし、身長も私と同じくらい。しかもたぶん、ちょっと不器用なんですよ。同族嫌悪なのか、自分と似てる人って嫌ですよね。"自分"には負けたくないじゃないですか」

 3月11日、スターダムが新設した若手の大会『NEW BLOOD1』に出場。ウナギ・サヤカと組み、マーベラスのMaria、宝山愛組と闘ったが、この日も勝てなかった。

「いつか勝てたとして、何が変わるんだろうって思います。今はみんなが初勝利を待ってくれていて、私自身も初勝利を熱望していて......だけど、勝ったら私の心の在り方とか、周りの見る目とか、そういうのが果たして変わるのかなって。少し怖くもあります。初めて飛行機に乗る、みたいな。勝った瞬間、『えっ、離陸しちゃうんだ!』みたいになりそう」

 つい先日、初勝利する夢を見たという。後楽園ホールで、桜井まいとシングル。中野たむにもらったスープレックスで、1、2、3――。

「桜井まいに勝つ想像は100回くらいしました。勝ちたいというか、勝たないといけないと思います。桜井まいに勝つまで、足を折ろうが何が起ころうが、引退できないって思いますもん。ドクターストップされても引退しない」

 キャリア1年10カ月。「プロレスの技術が足りない」「体が作れていない」といったアンチの声も大きい。しかしアンチはあまり気にならないという。勝てないことには落ち込むが、勝てないがゆえに叩かれて落ち込むことはない。「私でストレス発散できるなら、どうぞ叩いてください」とすら思っている。

 それよりも、応援してくれるファンのほうが大切だ。月山が負け続けるにつれて、皮肉にも応援の声が大きくなってきた。

「みなさん、実生活で長年うまくいかなかったりした経験があるからなのかなって思います。私もうまくいかなかった過去がいっぱいあるから、応援してくれている人の気持ちはすごく受け止めているし、力になってます」

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