検索

スターダム月山和香が、戦友の裏切りに抱いた困惑と怒り。コズエンのために「桜井まいに勝つまでは引退できない」 (2ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

「ダンスが始まった時の私の心境、想像できますか? こんなことを言っていいかわからないけど、私が入る前からダンスをやってたら、もしかしたらコズエンに入らなかったかもしれない。それくらい、ダンスはちょっとしんどかったですね」

 コズエンのメンバーは皆、アイドル出身。リーダーの中野たむは幼少期からバレエを習っており、他のメンバーもダンスの経験がある。月山は根っからダンスが苦手で、「楽器とかそういうポジションでもいいですか?」と聞いたが軽く流された。死に物狂いで練習し、「今はダンサーくらいうまいと思ってます」と言う。正直、ダンサーとまではいかないが......練習の甲斐あって、上達した。

 2022年2月12日、コズエンにとって衝撃的な出来事が起こる。2021年8月に、月山よりひと足早くコズエンに加入していた桜井まいが、「ジュリアさんのもとでプロレスがしたい」とコズエンを脱退。ジュリア率いるドンナ・デル・モンドに加入したのだ。

 月山にとって桜井は、アクトレスガールズ時代からの戦友であり、プライベートでも仲がよかった。

「私が最初に思ったのは、やめた時に彼女は『ダンスなんか練習したくねぇんだよ!』って言いましたけど、『私はあなたの10倍以上は練習してるからね』ということ。しかも『あなた、最初から踊れてるからな』と」

 やめた瞬間は、なぜやめたのか理由がわからずに困惑した。しかしその後、SNSでコズエンの先輩たちの悪口を言い始めた桜井の人間性を月山は疑い始めた。ユニットが変わっただけで、人格まで変わってしまうのはおかしいと思った。

 桜井がコズエンを脱退した翌日、スターダム京都大会で月山と桜井はタッグを組んだ。なぜ裏切った人間と組まなければいけないのか......。入場すると涙が出そうになった。しかしコズエンのメンバーたちがエプロンに上がり、「大丈夫だから」「私たちがここにいるから」と言ってくれた。心強かった。「私は桜井と組んで闘うんじゃなくて、コズエンの一員として闘えばいいんだ」と思った。

「あの試合が終わってから、意識が変わりましたね。それまで月山和香として闘ってたのが、『コズエンの月山和香』として闘うようになった。コズエンのみんなが同じショックを受けて、傷ついたからこそ、みんなで頑張んなきゃいけないという思いが強くなりました」

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る