ケンコバが回想する闘魂三銃士と"馳健"のピリピリしたライバル関係。「今となっては『馳先生』と呼ぶ2人に時の流れを感じます」 (2ページ目)

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji
  • 山内猛●撮影 photo by Yamauchi Takeshi

――ぜひ見たいですね。

「それで試合の映像を見られたら、蝶野さんが反則のパンチを繰り出したあと、ひとりで試合をまとめた武藤敬司さんのすごさも再確認できると思います」

――武藤さんには、どんな印象を持っていましたか?

「武藤さんはヤングライオンの時から大好きでしたね。高さがあるムーンサルトプレスを打っていて、『いい選手やな』と。それで、インタビューとかではボーッとした感じで話すし、面白みがあるレスラーだと思っていました」

――蝶野、武藤と共に「闘魂三銃士」と呼ばれた、橋本真也さんの印象も教えてください。

「橋本さんは愛すべき人でした。例えば、あれは『週刊プロレス』だったと思うんですけど、『俺は信長になる!』と、鎧と兜を身につけた写真が掲載されたことがあって。その兜が、ちゃんと入りきってなかったんですよ(笑)。有名なコメントの『時は来た』もそうですけど、永遠のガキ大将でしたね」

――3人は1984年4月の同期入門。それぞれ個性があって、ファンは惹きつけられました。

「奇跡の3人ですよね。この3人の性格がよく出ている写真があるんですが、それはいまだに忘れられません」

――どんな写真ですか?

「どの雑誌だったか覚えてないんですが、センターカラーで三銃士の特集をやっていて。そこで3人が、揃って『俺たちは道場の練習で多摩川の土手を走らされて。それが嫌で、後ろを走っていた』みたいな発言をしていたんです。それを読んだ時は『あの三銃士がそんなやる気のない練習態度なんて、ホンマか?』と疑ったんですけど......そのあと、新日本プロレスの選手全員で、道場のすぐ近くの多摩川沿いをランニングしている写真を見る機会があったんですが、本当に3人とも一番後ろを走っていたんです(笑)。

 思わず『本当に全然やる気ないやんけ!』ってツッコミましたよ。『あのコメントはウソじゃなかったんだ』と。練習態度としては、個人的にはいろいろ思うところもありますけど、根性論みたいなものを嫌がる3人だったんですね。

 さらにこの写真で見逃せないのは、悲しいぐらい(佐々木)健介さんが先頭を走っていたこと(笑)。人間関係もわかるというか......当時の俺は『3人は後ろで、健介について何かコソコソ言ってるんやろな』と想像してました」

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