「ぽっちゃりは、脇役じゃない。センターだ!」。まなせゆうなはガンバレ☆プロレスで自分の生きざまを見つけた (4ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko
  • 林ユバ●撮影 photo by Hayashi Yuba

「ありのままの自分を愛せ」

 ガンプロ代表の大家健は、大田区総合体育館大会についてこう話す。

「KinKi Kidsは東京ドームを2人で埋める。俺たちは今はまだ選手20人いても後楽園ホールを埋められない。俺はプロレスをメジャースポーツにしたい。板橋(グリーンホール)がどんなに超満員になっても、200人しか入らないんですよ。それが大田区、両国(国技館)、さらに東京ドームになったら、それだけ人が入るわけじゃないですか。今年は勝負の年。無理だのなんだの言われても、大きな箱でやるって決めたらやるしかないんです。そうしないとメジャースポーツに押し上げることはできない」

 4月26日、埼玉・レッスル武闘館にて、「ぽっちゃり女子プロレス3」が開催された。メインイベントは、まなせゆうな対今成夢人。ぽっちゃり女子プロレス旗揚げ戦以来、3年ぶりのシングルマッチだ。

 まなせのファイトスタイルは、3年前と明らかに変わっていた。体の大きさを生かしたダイナミックな動き。今成の厚い胸板に、得意技のラリアットをがんがんぶつける。

 インタビューで、まなせはラリアットについてこう話していた。「心臓に近いから、気持ちを直接ぶつけられる気がする」――。まさに彼女のラリアットを見ていると、力だけではない。気持ちを全力で相手にぶつけているように感じる。

 結果は、今成が勝利した。まなせは泣きながら、マイクを持つ。頚髄損傷で闘病中の大谷晋二郎にインスパイアされた言葉――。

「ぽっちゃりの教科書、101ページ! ありのままの自分を愛せ。一番後ろに、自分から行くな。だれかのために、真ん中を譲るな。私たちは、ぽっちゃりは、脇役じゃない。センターだ!」

 3年前に流した涙とは違っていた。今の彼女は、自分を愛し、仲間を愛し、ファンを愛している。

「試合はきついけど、それを越えたら物販もあってみんなに会えるし、楽しいから。私は自分の可能性を信じています」

 人は変われる。いくつになっても、何度でも。まなせゆうなというプロレスラーは、リングの上で、私たちにそう教えてくれる。

(次回:ウナギ・サヤカは「真逆」のイメージだったプロレスに参戦。恐竜に憧れた少女はリングで暴れることに夢中になった>>)

【プロフィール】
■まなせゆうな
1987年11月11日、千葉県生まれ。170cm、75kg。5歳の時に新体操を始め、小学校1年生から6年生まで、関東大会で優勝。高校2年生の時、芸能事務所にスカウトされ、グラビア活動を始める。2013年2月、スターダムに入門。2014年1月12日、新木場1stRING大会にて宝城カイリ戦でデビュー。2015年3月、スターダムを退団し、5月「アクトレスガールズBeginning〜プロローグ〜」でプロレス復帰。2016年12月、ミス東スポ2017特別賞を受賞。2017年3月より東京女子プロレスにレギュラー参戦。2019年7月26日、ガンバレ☆プロレスへの入団を発表。プラスサイズモデルとしても活躍している。

【大会情報】
「WRESTLE SEKIGAHARA」
■日時:2022年7月10日(日) 開場13:00 開始14:00
■会場:東京・大田区総合体育館
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