「他に言うことないの?」。初勝利で大興奮の三浦孝太に父・知良がかけたまさかの言葉 (3ページ目)

  • 池田鉄平●取材・文 text by Ikeda Teppei

【勝利後に父からまさかの言葉】

――YUSHI選手と、試合後に何かやりとりをしましたか?

「とてもいい方で、後日にYouTubeの撮影も一緒にさせてもらいました。試合前は、どうしたら『相手を倒す!』という気持ちになれるかがわからず、勝手にYUSHI選手の嫌なことを想像したり、『悪い人だ』と思い込んだりしていましたね。でも、それよりも一番モチベーションになったのは、『自分に対する批判的な声を覆したい』という思いでした」

――勝利が決まった直後に、観戦に来ていた両親のもとへ駆け寄り、熱い抱擁をしましたね。

「本当は試合前にタッチしにいこうと思ったんですけど、席がリングの反対側だったので、終わってからいこうと。それで勝ったあとに駆け寄ったら、お母さんは興奮しつつも、『おめでとう』と言ってくれました。

 僕も興奮していて細かくは覚えていないんですが、なぜかお父さんがめちゃくちゃ冷静だったのは覚えています。試合後のインタビューで『(お父さんから)何と言われたんですか?』と聞かれてはぐらかしたんですけど......実は両親ともうひとり、横浜FC時代のチームメイトだった中里崇宏さんがいて、お父さんからは『おめでとう』と祝福されてすぐに『中里もいるぞ』と言われました。『他に言うことないの?』という感じでしたよ(笑)」

――試合後の控室はどんな様子でしたか?

「家族全員がホッとしていて、腰が抜けた感じになっていました。僕に見せていなかっただけで、みんなプレッシャーを感じていたのかもしれません。僕自身も試合中は疲れを感じていなかったのが、その瞬間に一気にドンときて。とにかく、家族に勝利をプレゼントできてよかったです」

――世間の注目や、今後への期待感も増しているでしょうね。

「あの一夜でガラッと状況が変わったので、今は応援してくれる人が多いですが、一気に逆になることも理解しています。SNSや動画を見てくれたり、僕に時間を費やしてくれる人は本当に温かい人なんだろうなと思いますし、大切にしていきたい。格闘技にしっかり向き合う姿も見ていただけたらと思います」

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