ノアの丸藤正道、新日本プロレスは「今の俺たちにとっては美味しいエサ」。1・8対抗戦でプロレス界のナンバーワンを「ひっくり返す」 (3ページ目)

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji
  • photo by Tokyo Sports/AFLO

【「副社長」目線の対抗戦のプラス面と"賭け"】

 その清宮は、丸藤からの期待を十分に理解した上で、対抗戦への意欲を露わにする。

「プロレス業界のナンバーワン、『日本のプロレスといえば新日本』っていう空気は確かにあります。でも、僕はずっと疑問があったんです。『リング上の闘いはノアが一番だ』という自信があったから。今回の戦いで、その部分をひっくり返したいと思います」

 丸藤は、清宮の自信が確信に変わることを期待する。

「俺がIWGP挑戦とかGIとかで新日本に乗り込んだ時も、勝ったり負けたりはありましたけど、『自分たちがやってきたプロレスは間違っていなかった』という確信を得ることができた。彼らも、今大会でそれができると思います」

 丸藤自身は小川良成とのタッグで、かつてノアに所属、あるいは参戦していた金丸義信、ザック・セイバーJr.と対戦する。

「新日本は、多少なりとも小川さんとの技術の差を埋められる選手をぶつけてきた。あのふたりなら、ずっと新日本に所属している選手よりも対応はできるかもしれません。でも、まだまだ小川さんの引き出しはたくさんある。俺自身も心強くてしょうがないですし、小川さんは100ある技術のうちの10を披露すれば勝てると思っているかもしれませんね」

 ここまではノアを牽引してきたレスラーとして対抗戦を語ってきたが、団体を経営する「副社長」としては、今回の戦いをどう考えているのか。

「確実にプラスになるものと、"賭け"になるものがあると思います。

新日本は日本のプロレス界のなかで突っ走っていて、お客さんの数、(動画配信の)視聴者数なども、ノアとはたぶん『0』がひと桁違うでしょう。その部分で、ノアを知らない人たちにウチの選手を知ってもらう、見てもらうきっかけになる。見てもらえさえすれば好きになる選手も出てくるでしょうから、そこは確実にプラスですよね」

 一方で"賭け"になる部分は......対抗戦や他団体との戦いは、常に賛否両論があります。『賛』の意見はそこまで目につかないものですが、どうしても『否』のほうは我々もファンも気にしちゃいますよね。『楽しかった』『やってくれて、ありがとう』という言葉はすごくうれしいけど、話題が広がらずに『よかったな』だけで終わることも多いです。かといって『何でこんなことやったんだ』といった広がり方もよくないから、そこは選手、フロントもしっかり考えて次につなげないといけない」

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る