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柔道の男子重量級で金なし。
「勝ちに飢えた柔道」ができなかった (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Nishimura Naoki/AFLO SPORT

 100kg超級には昨年に続いて今回も出場してこなかったテディ・リネール(フランス)という絶対王者がいるが、試合展開もこれまでよりスピード化している。そんな中、選手たちには速い組手や速い技出しをして、しっかり競り合うことを意識させていると井上監督は話す。リネールだけではなく他の選手に勝っていくためにも、スタミナ作りというのがこれからの課題のひとつにもなってくるだろう。

 また100kg級のウルフに関しても、井上監督は「彼のよさはスピード感あふれる組み手や、厳しい組手。そこから圧力をかけていって最後まで競れるところ。今回の前半戦はそれを出せていなかったが、敗者復活戦からはそんな柔道をして銅メダルを獲得したので、最低限の結果は出した」と評価する。

 ウルフ自身も「今回は組手の部分や、いつもなら途中で諦めるタイプの選手が最後まで技をかけてくるなど、五輪1年前になって、勝ちに飢えているような柔道をしてきた。僕自身もそういう柔道ができるようにしっかり(レベルを)上げていかないと、五輪では優勝できないと感じた。準備の段階からやり残しがないようにしていきたい」と振り返る。

 金メダルこそ逃したが、それぞれに原因もはっきりしている"完敗"とはいえない結果。それは来年の東京五輪の金メダル獲得へ向けて、選手自身だけではなくスタッフももう一度気持ちを引き締める大会になった。

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