2019.09.03

柔道の男子重量級で金なし。
「勝ちに飢えた柔道」ができなかった

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Nishimura Naoki/AFLO SPORT

 9月1日まで、東京の日本武道館で行なわれた世界柔道選手権。来年の東京五輪へ向けて優勝を狙っていた男子重量級2階級は、100kg級のウルフ・アロン(了徳寺大職員)が3位、100kg超級の原沢久喜(百五銀行)が2位と、金メダルには届かなかった。

惜しくも決勝で敗れて銀メダルになった100kg超級の原沢久喜 100kg級に出場したウルフは、初出場した2017年の世界選手権で優勝し、昨年は5位で今回が3回目の出場。今年4月の体重無差別で出場した全日本選手権では、100kg超級の選手たちを圧倒して優勝し、7月のグランプリ・ブダペストでも優勝するなど準備は万全かに思えた。

 しかし、ふたを開けてみると初戦から動きが重かった。1回戦と2回戦は技によるポイントを奪えず、みずから攻めるというよりは、時間を使って反則勝ちで進んだ。3回戦も相手に指導がふたつ出る有利な状況になりながらも、釣り手で背中や帯を取ってくる相手に苦戦。4分間では決着をつけられず、ゴールデンスコアの延長戦に入って18秒に内股で技ありを取って勝ち上がっていた。

 準々決勝は昨年優勝しているチョ・グハム(韓国)との対戦になった。先に釣り手を取って組んでも、一歩先に動かれる展開になり、両者指導1のままゴールデンスコア(延長戦)に。そして延長1分16秒にはチョの一本背負いに対応しきれず、技ありを取られて負けてしまった。

「当日の5%計量(前日に計量を終えても、当日試合前に制限体重の5%以上の超過になってはいけないルール)が頭にあって、朝ご飯を食べられなかったり、栄養をしっかり補給できなかった影響もあったかもしれないです。うまく動けなかったというのが正直なところで、1回戦で全力を出せるような準備ができなかった。減量はしっかりできたが、ちょっとギリギリ過ぎたかもしれない」

 その悪い流れを引きずってしまった準々決勝では、釣り手を下から持って自分の得意な形にしようとしていた所で、相手に隙を突かれて潜り込まれると投げられてしまった。

 その後、休憩時間を挟んだ夜の試合では、モヤモヤを吹き飛ばす彼本来の柔道を見せた。敗者復活戦では昨年のグランドスラム大阪の決勝で顔を合わせて勝っていたシャディ・エルナハス(カナダ)を相手に、釣り手を取るとすぐに技を仕掛けた。開始1分47秒に引き込み返しで技ありを取ると、2分55秒には釣り手から素早く大外刈りに入り、一本を取って3位決定戦に勝ち上がった。