伊調馨が明かす心境。「東京五輪で5連覇よりもやりたいことがある」 (4ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「引退して、母校に戻って、ナショナルチームのコーチになって......というのは、普通じゃないですか。まずは、ちゃんと勉強したい。教えるのはトップでなくても、チビッ子でも、中学生、高校生でもいい。どの世代でもいいけど、その分、もっと勉強しないといけないですよね。

 子どもには子どもに合った教え方があるし、多感な時期には、それなりに心に響くような言葉が必要でしょうし。経験したことだけしか話せないコーチではなく、自分が経験した以上のことをうまく伝えられる指導者になりたいんです」

 海外で学ぶという選択肢もあるが、そこも伊調ならでは。スポーツ先進国だけでなく、まだまだレスリングが普及していない発展途上国も視野に入れている。

「どんなプログラムをコーチとして学ぶべきなのか? 自分を必要としてくれる海外はあるのか? そんな情報を今、集めています。留学したと言っても、人それぞれ。しっかり学んできた人もいれば、そうじゃない人も。でも、『海外へ行った』という事実は指導する際、選手に対して説得力になりますよね。

 問題は、どこへ行くか。アメリカで最先端の医科学、栄養学、調整法、減量法、トレーニング法などをきちんと学ぶというのもいいアイディアですけど、発展途上のアフリカなどに行って、私が教えるというのもおもしろいかなと。いろんな可能性があるし、今はそれができると思う」

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