伊調馨が明かす心境。「東京五輪で5連覇よりもやりたいことがある」 (5ページ目)
最後に、もう少し先の将来のビジョンを尋ねると、伊調は迷わず即答した。
「結婚もしたいですし、出産もしたい。レスリングは大好きですから、ずっと関わっていきたいので、そうしたなかで、自分にできることはなんなのか、考えていくんでしょうかね。
結婚して、子どもを産んだら、レスリングのことだけを考えているわけにはいかないでしょ。旦那のこと、子どものことを考えていろいろ頭のなかが分散するから、レスリングのことだけに集中できないでしょうけど。
ママになって、子どもとマットで遊ぶのもいいですし、その子に『レスリングしているママが見たい!』なんて言われたら、それが原動力になるかも......。誰の言葉も耳に入ってこないのに、自分の子に言われたら、スーッと入って、マットに立っているかもしれませんよ」
伊調が客観的に考える、マット復帰のリミットはオリンピックの2年前。
「前年の世界選手権がオリンピック予選の1発目となりますが、そこで出場権を獲得する以上に、世界の動き、どんな選手がいるのか、選手層を確かめる必要があります。ビデオやデータだけでなく、実際に戦ってみて。そう考えると、その世界選手権に出場するためには、さらにその前年暮れの全日本選手権から出場していないと難しいですね」
はたして、伊調馨はいつ、どう決断するのか――。
photo by Sano Miki【profile】
伊調馨(いちょう・かおり)
1984年6月13日生まれ、青森県八戸市出身。中京女子大学(現・至学館大学)卒。ALSOK所属。2004年アテネ、2008年北京、2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロで金メダルを獲得し、女子史上初の五輪4連覇を達成する。世界選手権10回優勝。2016年10月、日本政府から国民栄誉賞を授与される。共著に『一日一日、強くなる~伊調馨の「壁を乗り越える」言葉』(講談社+α新書)
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