2016.08.15

太田忍、16年ぶりの銀。
地獄を見た日本グレコローマンに新星誕生

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by JMPA

 レスリング男子グレコローマンスタイル59キロ級の太田忍(ALSOK)が、日本のグレコローマンスタイルとしては2000年シドニー五輪の永田克彦(69キロ級)以来、実に16年ぶりの銀メダルを獲得した。1952年のヘルシンキ五輪以来、途絶えることなくすべてのオリンピック競技のなかで唯一、メダルを獲得し続けてきたレスリングの記録を更新し、伝統を守り抜いた。

男子グレコローマンスタイル59キロ級で銀メダルを獲得した太田忍 太田の初戦の対戦相手は、イランのハミド・スーリヤン。オリンピック出場権を獲得した3月のアジア予選で破っている相手とはいえ、ロンドン五輪(55キロ級)をはじめ、世界を6度も制している30歳のチャンピオンだ。ここ数年は体力的な衰えを指摘され始めたが、日本代表グレコローマンスタイル西口茂樹監督は、「実力はナンバー1。今大会、もっともマークしなければならない選手」と警戒していた。

 第1ピリオド、スーリヤンがあっさりローリングで2点を奪うと、バックにまわってさらに2点を追加。0-4とリードを許したが、太田は最初から「勝負は第2ピリオド」と決めていた。

 アジア予選の後、太田は次のように語っている。

「スーリヤンと戦って、うまさは感じたが、力強さはなかった。特に、後半はバテているのがアリアリだったので、ここで攻めれば勝てると思い、一気に攻め込みました」

 ロンドンの金メダリスト相手にも怯(ひる)むことなく、冷静に相手の状況を見極め、リオへのキップを手にした太田は、オリンピック本番では前回の対戦で見つけた相手の弱点を突く戦術に打って出る。