ありがとう天龍源一郎。生ける伝説~引退まで53年の格闘家人生

  • 佐瀬順一●取材・文・写真 text & photo by Sase Junichi

 最近では「最強のハスキーボイス」「日本一滑舌の悪い男」として有名なプロレスラー天龍源一郎だが、大相撲で13年、プロレスで40年、実に53年に及ぶ格闘家生活に、もうすぐ終止符を打とうとしている。

来年2月で66歳となる「生ける伝説」天龍源一郎来年2月で66歳となる「生ける伝説」天龍源一郎 今から39年前、まだ大相撲にいた天龍は、ジャイアント馬場から「早くプロレスに来い」と誘われていながら、「相撲から逃げたと言われるのが嫌だ」と、勝ち越しするまで相撲を辞めなかった。こういう意地を張り、自分を通すその"つっぱり"精神こそが、天龍の魅力だ。

 全日本プロレス時代は、ライバル団体の新日本プロレスから移籍してきた長州力たちに対し、「負けてたまるかよ!」というつっぱり精神を爆発させた。さらに、長州たちが新日本プロレスにUターンすると、阿修羅・原たちと『天龍同盟』を結成。当時、絶対的エースにして最強と言われていたジャンボ鶴田を怒らせることで、その怪物的な強さを引き出してみせた。これも、「長州がいなくなって全日本はつまらなくなった」と言わせたくないという、つっぱり精神から出た行動だ。

 また、1989年11月にタッグマッチながら馬場からピンフォール勝ちを奪った天龍は、同じ日に東京ドーム大会を開催していたUWFへのつっぱり精神から、「今日の勝利はドームより重い」と発言している。

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