【ボクシング】荷物番だった内山高志を変身させた「大学1年の夏」 (6ページ目)
「どの夏も、キツかったっすよ。でも、一度でもリタイアしていたら、ボクシングを大学までで辞めていたかもしれない。そもそも、夏合宿ってイヤじゃないですか(笑)。友だちは遊んでいるのに、練習漬けなんて。ただ、あの夏の日々があったから、今があるんだと思えますね。多少の無茶や理不尽も、乗り越えて来たから、今があるんだろうなって」
内山に聞いた――。夏の日差しと誘惑に、そして凡庸な自身の才能に、心が折れそうになっている少年時代の自分が目の前にいたとして、もしも声をかけられるなら、なんと声をかけますか?
「『その先に何が待っているかなんて、やってみなくちゃ、わかんねーぞ』ですかね」
才能でも、センスでもない。唯一、信じられるものを、内山は知っている。
「流した汗の分だけ、人は強くなれる」
次戦について、内山は、「10月か11月にできたらと思っています」と語った。
暑い、暑い夏を越え、季節は巡り、秋が来る――。その時、夏前よりも強い内山高志がリングに立っている。
Uchiyama Takashi【profile】
内山高志(うちやま・たかし)
1979年11月10日生まれ、埼玉県春日部市出身。ワタナベボクシングジム所属。2005年7月にプロデビューし、プロ8戦目でOPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王座を奪取。2010年1月、WBA世界スーパーフェザー王者のファン・カルロス・サルガドに挑み、最終ラウンドでTKO勝利して世界王座を獲得する。9度目の防衛でスーパー王座に認定され、現在防衛10回。172センチ、右ボクサーファイター。24戦23勝敗19KO無敗1分。
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