2014.05.08

【ボクシング】3冠失敗。なぜ井岡一翔は負けたのか?

  • 原功●文 text by Hara Isao photo by AFLO

 3階級制覇の夢は、ひとまず、おあずけとなった――。5月7日、大阪ボディメーカーコロシアム(大阪府立体育会館)で行なわれたIBF世界フライ級タイトルマッチで、挑戦者の井岡一翔(25歳・井岡ジム)は老練なチャンピオン、アムナット・ルエンロン(34歳・タイ)の前に12回判定負け。プロ15戦目で、初の黒星を喫した。7戦目でミニマム級、11戦目でライトフライ級を制覇してきた井岡だが、ここで小休止を強いられることになった。なぜ、井岡は敗れたのだろうか。

アムナット(左)の老獪なボクシングにしてやられ、3階級制覇を逃した井岡一翔(右) 130年におよぶ近代ボクシングの歴史上、世界3階級制覇(4階級、5階級、6階級制覇を含む)を達成しているボクサーは、優に30人を超える。日本で唯一の達成者である亀田興毅(27歳・亀田ジム)がそうであるように、その多くは現在のような「17階級×4団体」が定着した1980年代以降に集中している。3階級制覇に2度挑んで跳ね返されたファイティング原田の時代(1960年代)とは、ボクシングビジネスを取り巻く事情や環境、そして世界王座そのものの価値も比べようもないほど大きく変化していることは否めない。それでも、「トリプルクラウン(3冠)」がトップボクサーたちのひとつの目標であり、それが今も高い山であることに変わりはない。つい2週間前には長谷川穂積(33歳・真正ジム)が登頂を目指したが、3度のダウンを喫して7回TKOで敗れたばかりだ。

 今回の井岡のチャレンジは、決して無謀でもなければ、勝算が低かったわけでもない。オンラインカジノのオッズでは、9対2で井岡有利。3冠達成の可能性は高いとみられており、井岡自身も、「ひとつの通過点」と位置づけていたほどだ。フライ級はライトフライ級よりも約1.9キロ重い分、減量の負担が軽減された井岡は上々のコンディションだったというが、リングの上では思ったようなボクシングをさせてもらえなかった。