【ボクシング】長谷川穂積インタビュー「俺は、俺に勝ちたい」 (3ページ目)
試合後、勝っても負けても、
笑っていられたらいい
――今回の世界戦に向けて、現在のモチベーションは?
長谷川 この試合で自分を出し切りたい。それだけです。でも、この試合が今までの試合で一番、楽ですね。勝とうが、負けようが、俺はこの試合で自分を出し切れたらそれでいいので。
――バンタム級、フェザー級、そして今回はスーパーバンタム級。3階級制覇をかけた試合になります。3階級制覇ということは、モチベーションにはなり得ないでしょうか?
長谷川 どうでもいいですね。全然関係ないです。勝っても、3つ目のベルトが入るというだけ。3階級制覇が、諸手(もろて)を上げて喜ぶほど嬉しいことだとは思わない。
――それはなぜですか?
長谷川 フェザー級で防衛せずに負けているので。僕の中であれ(2010年11月のWBC世界フェザー級王座決定戦)は、ブルゴスに勝っただけ。周囲からは2階級制覇と言ってもらえますが、その後、防衛していないんでね。だから今回、勝ったとしても、胸を張って3階級制覇とは言えない。まあ、日本人的な考えなんかな、外国人選手ならそんなこと考えないだろうから。「3本ベルトを取ったんだから、3階級制覇だ」って。でも俺は、そうは考えられない。俺の中での問題です。だから次の試合は、3本目のベルトを獲りに行く試合。それ以上でも、以下でもない。
――すべてを出し切りたいとのことですが、バンタム級から階級を上げた際、「不用意に打ち合ってしまうのが課題」と、多くの識者は指摘しています。それについて、どのように考えていますか?
長谷川 打ち合うのはボクシングの魅力ですし、俺の魅力でもあるのかなと。だから、あえてそこを殺す必要はないと思っています。もし、俺のボクシングを好きだと言ってくれる人がいるのなら、それは、人間味があるってことじゃないかと思っているので。試合中、打ち合うべきと判断したら、迷わず打ち合おうと思っています。
――内容的にはどんな試合をしたいですか?
長谷川 どんな試合になるかは、やってみなければ分からない。ただ、終わった時、勝っても負けても、笑っていられたらいいなと思います。
――極端な話、負けたとしても出し切ったと思えば笑えると?
長谷川 そうですね。
――それは、今までにない発言のような気がしますが?
長谷川 ないですね。まあ、最後ですから。
――最後ですか?
長谷川 ひと言で言えば。さっき、この試合の先のことも、何度防衛したいかも、「言えない」って答えました。それは、終わってみないと分からないということです。試合が終わった時、判断すると思います。(ボクシングを)やめるのか。続けるのか。終わった時、自分の心に聞きます。
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