【ボクシング】世界チャンプ8人。ボクシング人気は復活したのか? (2ページ目)
こうした折り、日本ボクシング界はWBA(世界ボクシング協会)、WBC(世界ボクシング評議会)に加え、これまで非公認だった後発の統括団体IBF(国際ボクシング連盟)とWBO(世界ボクシング機構)を解禁する方向で最終検討に入っている。選手にとっても、関係者にとっても、チャンスが広がることになりそうだが、手放しで喜んでもいられない。
今でさえ、バンタム級(WBA=亀田、WBC=山中)とスーパーフライ級(WBA=河野、WBC=佐藤)で、日本にふたりの世界チャンピオンが存在するというのに、今後は同じ階級の世界チャンピオンが、日本に最多で4人誕生するという事態も考えられるのである。同じ階級に日本人チャンピオンがぞろぞろと生まれてしまっては、これまでのような「内輪の事情、ビジネス上の事情」という言い訳では通用しなくなるだろう。ファンに愛想を尽かされないような策を講じる必要に迫られることは間違いない。
今後、チャンピオンが乱造され、試合の質が低下すれば、『プロボクシング』というイベントも世間のふるいにかけられることになるだろう。数ではなく、質の面でどれだけ『ホンモノ』を提供できるか、そこにボクシングという競技の生き残りがかかっている。
IBFとWBOの認可に際し、粗製乱造の世界戦を阻止する意味で、日本ボクシングコミッション(JBC)は「世界挑戦の資格を、日本あるいは東洋太平洋王座の獲得者に限定する」という内規を採用することになりそうだが、その効果は期待できない。なぜならば、2012年に限ってみれば、国内外で世界に挑戦した選手9人全員が、すでにこの規定を満たしているからである。これでは、実効性は極めて薄いと言わざるを得ない。
それでいて、20年間に37連敗中の海外での世界挑戦には、「内規を適用しない」というのだから理解に苦しむ。粗製乱造を防止するならば、海外での世界挑戦にこそハードルを設けるべきであろう。このままでは「有名無実の内規」と言われても仕方ない。
こうしたさまざまな理不尽や、矛盾を一般向けにどう説明し、いかに処理していくのか――。難問山積の中、JBCと日本プロボクシング協会の舵取りが注目される。
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