【ボクシング】世界チャンプ8人。ボクシング人気は復活したのか?
井岡一翔の世界タイトルマッチは2年連続で12月31日の大晦日にテレビ中継された 昨年の大晦日――。東京で3試合、大阪で2試合、計5試合もの世界戦が日本で開催され、チャンピオンふたりが防衛に成功、3人の新チャンピオンが誕生した。これで日本人の世界チャンピオンは『8人』となった。しかし、チャンピオンの増加が日本ボクシングの質の高さを示しているとは言いがたく、現在、日本ボクシング界が抱える課題は決して少なくない。
一見すると隆盛にみえる日本のボクシング界だが、はたして世界チャンピオン8人の名前をすべて言える人が、どの程度いるだろうか。スポーツ好きの友人や知人に聞いてみるといい。その結果が、現在のボクシング人気を計るバロメーターといえる。
【日本の男子世界チャンピオン8人】
内山高志(ワタナベ) → WBAスーパーフェザー級
亀田興毅(亀田) → WBAバンタム級
山中慎介(帝拳) → WBCバンタム級
河野公平(ワタナベ) → WBAスーパーフライ級
佐藤洋太(協栄) → WBCスーパーフライ級
五十嵐俊幸(帝拳) → WBCフライ級
井岡一翔(井岡) → WBAライトフライ級
宮崎 亮(井岡) → WBAミニマム級
※カッコは所属ジム
昨年の大晦日がそうだったように、近年、日本で開催される世界戦は『ダブルマッチ』、あるいは『トリプルマッチ』がほとんどである。豪華になったともいえるが、その裏には世界戦開催に関する苦しい台所事情があることも忘れてはならない。
現在は単独の世界戦で多くの観客を集めることが難しくなっているだけでなく、試合を放送するテレビ局は「世界戦1試合だけの放送」を敬遠しがちだ。特に生中継の場合がそうで、短時間で勝負が決したときのリスクを避ける傾向がある。また、真剣勝負ゆえ、思わぬ凡戦になる場合もあり、そのリスクも回避するために複数の世界戦を放送するという事情もある。
いずれにしても、開催費用の多くをテレビ局に依存している現状では、局の意向に沿ったイベントにせざるを得ないわけだ。昨年ドイツでは、大手プロモーターがテレビ局から年間2000万ユーロ(約23億円)という莫大な放映権料を打ち切られて破綻した。こうした事例を、対岸の火事として見過ごすわけにはいかない現状が日本にもある。
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