【男子バレー】西田有志が語る新王者・大阪ブルテオンの勝因 「シーズン前から準備をしていた」 (3ページ目)
――西田選手は感情量が豊富ですが、その感情のコントロールが最大値のプレーを出すカギだと思いますか?
彼はその問いに対し、明確な答えをしていた。
「入り込みすぎている場合、どう一歩引いて俯瞰できるか。それを意識せずできるようになるには、自分には経験がもっと必要ですね。次のステップは、そこがカギになるかなって」
今回のチャンピオンシップで、西田はバレーを楽しみつつ、勝負を俯瞰できていた。そのおかげで劣勢も覆せた。あるいは、彼にとって劣勢は劣勢ではなく、優勢も優勢ではなかったのかもしれない。逆説的だが、バレーに夢中になることで解き放たれていた。
「僕はキャプテンという立場で、"一番努力してチームの先頭に立たないと"と思っていました。その意図を持って、シーズンが始まる前から準備してきて......負けていたら、やってきたことも否定的に捉えられると思うので、こうして結果が出てこそ言えるのですが、やってきてよかったなと思います」
試合後の会見で登壇した彼は、少し安堵したようにも映ったが、それもつかの間、視線は先に向かっていた。
「見据えていることは、(2028年の)ロスのオリンピックでメダルを取ること。そこに向けてパフォーマンスをすべて向上させるだけです」
会見の最後に、西田は低い声で言った。どんな1点も、どんな1勝も、どんなタイトルも過程でしかない。それらは彼を形づくるが、どれも決定的ではないのだろう。あらゆることを飲み込んで、彼のバレー人生になるのだ。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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