【女子バレー】山本侑奈はスーパーでレジ打ちしながらSVリーグでプレー 同僚やお客さんの応援を胸に戦う (3ページ目)
「退院してからは、みんなが練習している体育館の端とか、ステージの上で、復帰に向けてトレーニングしました。練習するみんなの姿を見ながら、『自分がこの状況にいるのは悔しい』と思ったんです。だから、『どうせリハビリをするなら、治ってすぐレギュラーに戻ってやろう!』と心に決めていました」
柔らかい表情の裏にある反骨精神が、かつてないほど山本自身を強くしたのだろう。高校時代のコロナ禍、大学時代に負った大ケガ、そんな逆境はむしろ、彼女にとってバネになった。4年生になって復帰すると、全日本インカレではベスト16と健闘している。
【普段はスーパーのレジ打ちも】
「大学でも、『もうバレーをやめよう』と思っていたんですよ。でも、コーチの方や高校の先生に相談して、『チャレンジできる環境があるならやってみてもいいんじゃない?』と言ってもらいました」
4年時の8月、ヴィクトリーナ姫路のトライアウトを受けた。体力測定と基礎のプレーをクリアし、チーム練習に帯同したあとに「合格」の通知を受けた。
「3、4日後に電話がかかってきました。とにかく安心しましたね。実は、ほかに就活はしていなかったので、ドキドキでした」
山本はいたずらっぽい笑みを洩らす。彼女は、見事にSVリーグのステージをつかみ取った。夢の世界の話ではない。働きながらバレーをする契約だが、そこで生きていくことで、道は明るく照らされる。バレーの引力で導かれた場所に、彼女は立っているのだ。
「昨日もスーパーマーケットでレジ打ちしてきましたよ!」
山本は楽しそうに言う。
「スーパーの店長さんがいい人で、チームのブースを店内に作ってくれたり、等身大のパネルやユニフォームを飾ってくれたりして。そのおかげで、お客さんに『身長、大きいね』『選手やっているの? すごい、頑張ってね!』『応援しているよ』と声をかけてもらうことが増えました。目をキラキラさせて言ってもらえると、応援していただいている気持ちが伝わってきて、『頑張ろう』と思えるんです」
山本は心に火を灯すように言って、優しく目尻を下げた。
(後編:山本侑奈が熱く語る、「無気力系」孤爪研磨がチームのために頑張る姿>>)
【プロフィール】
山本侑奈(やまもと・ゆな)
所属:ヴィクトリーナ姫路
2003年2月17日生まれ、山梨県出身。173cm、ミドルブロッカー。小学3年でソフトバレーボールを始め、4年生からバレーボールに移行。その後、東海大甲府高校を経て桜美林大学に進学。前十字靭帯のケガを負いながらも4年時に復帰し、全日本インカレにも出場した。2025年2月、ヴィクトリーナ姫路に入団した。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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