【女子バレー】松井珠己は五輪メンバー落選にも海外挑戦をして落ち込んでいる暇なし 「毎年、自分を更新していきたい」 (3ページ目)
【日本のトップ選手たちから受けた刺激】
松井は日本女子体育大に進学し、アンダーカテゴリーの代表に選ばれた。U20世界選手権では強豪トルコとの激闘を制して3位に入り、自身はベストセッター賞を獲得。そこで自信がついたという。また、2019年のアジア選手権では、若手主体のB代表のセッターとして、石川真佑、山田二千華を自在に操ってアジア女王に輝いた。
「石川選手には勝負強さを感じました」
能力の高い選手たちとコンビを組むことで、さらに腕を上げた。
「石川選手は、試合の終盤で上げれば決まる感じ。私は後から合流してコンビを合わせる時間がなくて、どんなトスがほしいのかわからない状態でしたが、上げると必ず踏み込んでくれるし、ちゃんと決めてくれる。空中に止まってのクロスが得意で、『肩が柔らかいな』と感動しました。
山田選手も、『いいミドルだな』と思いましたね。スピードがあるし、ワンレッグだけじゃなく、フロントクイックも打てるし、無駄な動きがなかったです」
松井はシニア代表に初選出された2020年、当時Vリーグのデンソーエアリービーズに入団した。年を追うごとに出場機会を増やし、やがて主力になった。ポジショニングやタイミングの良さが称賛され、「周りを輝かせるセッター」と呼ばれるようになった。そして2023‐24シーズンには、ブラジルに新天地を求めている。
「ずっと海外でプレーしてみたくて。『リスクが高い』とも言われたけど、プラスしかなかったです。ブラジルの選手はスイングが遅かったり、カバーもしてくれなかったりという面もありましたが、日本人とは違う勝負強さがあった。終盤になるほどジャンプが高くなって、『私に持ってきて!』ってなるんです。それぞれが、思ったことを言い合える環境もよかったですね」
彼女はその環境に適応し、技術も上げた。パリ五輪に向けた最終予選でも、井上愛里沙とのコンビで際立つ活躍を見せた。プエルトリコ戦はひとつのハイライトだ。
しかし、パリ五輪メンバーからは外れた。その後はアメリカのリーグにも挑戦もしたが、落選とは関係ないという。落ち込まず、純粋にバレーと対峙した結果なのだ。
2024-25シーズンからは、ブルーキャッツで新たな一歩を踏み出した。上位8チームに入り、チャンピオンシップに進出するのが目標だが、まずは、ひとつひとつのプレーを積み重ねていく。
「難しい場面で、『縦でクイックを使って......』と考えるのが好きですね。スパイカーに、そこに跳んでもらえるように」
探究するセッターの肖像だ。
(後編:石川かほくの松井珠己が選ぶ『ハイキュー‼』ベストメンバー セッターを影山飛雄ではなく菅原孝支にした理由は?>>)
【プロフィール】
松井珠己(まつい・たまき)
所属:PFUブルーキャッツ石川かほく
1998年1月10日生まれ、千葉県出身。170cm、セッター。小学校3年で東金町ビーバーズに入団。富山第一高校では春高バレーに出場。日本女子体育大時代からアンダーエイジカテゴリー日本代表として主力を担い、世界ジュニア選手権大会、ユニバーシアード競技大会での銅メダル獲得に貢献した。卒業後はデンソーエアリービーズで3季を過ごしたのち、2023-24シーズンはブラジルのスーペルリーガ、翌シーズンはアメリカのリーグ・ワン・バレーボールでプレーし、2025年にPFUブルーキャッツ石川かほくに入団した。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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