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【女子バレー】渡邊彩はパリ五輪メンバー落選での「精神崩壊」も乗り越えて 目指すはお世話になった元代表選手の最年長記録 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 パリ五輪の最終予選で、彼女は肌が粟立つことがあったという。

「最終予選のブラジル、トルコ戦では、ゾーンに入っていたと思います。自分より身長が20cmくらい高い、アゴが上がる(ように見上げる)選手たちが前にいても怖くなかったです。『打ち下ろされても、通過する軌道にタイミングさえ合わせてブロックに跳んだら止められる』と。

 それまではブロックにネガティブな感じもありましたが、『小さくても世界と戦えるんだ』と思いました。国を背負って戦うこと、会場の熱気に『楽しい』と熱くなった自分がいて。ただ、もう過去の話ですし、それに浸っているわけじゃないですけどね」

 その興奮が彼女をコートに引き戻す。もはや、離れられない。多治見が作った最年長記録、39歳11カ月は大きな目標で、3年後のロサンゼルス五輪もあきらめていない。

「バレーを通して、人生を感じられるのがいいんですよ。代表を目指して現役を続けてきたので、プレーヤーである以上はトライします」

 渡邊は熱烈に、バレーへの愛の詩を詠む。

(後編:渡邊彩は、及川徹の名言に自分を重ね合わせる「やり続けることが大事」>>)

【プロフィール】

渡邊彩(わたなべ・あや)

所属:Astemoリヴァーレ茨城

1991年4月23日生まれ、宮城県出身。176cm・ミドルブロッカー。母の影響で小学4年からバレーを始める。古川学園高時代には、春高バレーで2年連続準優勝。卒業後、三洋電機レッドソア(活動休止)から仙台ベルフィーユ(解散)を経て、2017年にトヨタ車体クインシーズ(現・クインシーズ刈谷)に入団。2021-22シーズンから日立リヴァーレ(現・Astemoリヴァーレ茨城)で、2024-25シーズンはSAGA久光スプリングスでプレー。2025年にAstemoリヴァーレ茨城に復帰した。日本代表は2019年に初選出。2023年のパリ五輪予選東京大会で活躍し、2024年はパリ五輪の出場権獲得に貢献した。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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