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【バレーボール女子】石川真佑が見せるオールラウンダーとしての成熟 パリからの捲土重来なるか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【パリ五輪を終えての誓い】

――広角に打ち分け、ブロックアウトも狙いどおり。本来の技巧的スパイクを取り戻したように見えましたが?

 その質問に、石川はこう返していた。

「過去2戦(ポーランド、ブラジル)と、自分自身も出しきれていなかった部分あったので、そこも含めて、"ケニア戦では出しきろう"というのがありました。2セット目は(一時はリードされるなど)競ってしまいましたが、(逆転の流れを決定づけるスパイクなど)今日の一戦にかける気持ちは強かったです。相手がどういう(レベルの)相手であっても、常に自分のハイパフォーマンスを出していかないと」

 彼女は凛と背筋を伸ばし、目を据えて答えていた。持て余す無念さを隠すようだった。

「パリオリンピックは3試合を終えて、相手もオリンピックにかける思いが強いな、と思いました。そこで自分たちが押されて、力を出しきれなくて。オリンピックにかける思いが、相手のほうが上回っていました。これから自分たちがどう改善するのか。自分自身、改善点がたくさんあるので、そこに目を向けてやっていきたいです」

 当時の石川は、そう誓っていた。

 あれから1年、彼女は見違えるほどに逞しくなった。イタリア、セリエA挑戦2年目のノヴァーラではCEVカップ(欧州カップ戦のひとつ)で優勝。決勝戦では、サービスエースやレシーブなど八面六臂の活躍だった。海外のクラブで勝利の立役者になる経験の積み重ねは、何ものにも替え難い。

 そしてネーションズリーグで、彼女はキャプテンとして選手を牽引する姿を見せている。格が上がったと言えばいいだろうか。チームリーダーにふさわしい顔つきになった。

「(キャプテンは)日本での試合は(今回の代表では)初めてだったので、気持ち的にも違いましたけど......。カナダ、香港とこれまで8試合やってきたので、変に気持ちをつくらず、今までどおりできたかなって思います」

 フランス戦後の石川は淡々と語っている。その胆力は頼もしい。

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