バレーボール女子代表の新星・秋本美空、国内デビュー&先発11得点で明かした胸の内 (2ページ目)
【「練習してきたことが出た」】
「(試合で)コートに入る機会は少ないですけど、練習したことを発揮できているか。そこは監督へのアピールにもなるし、何より自分が成長できる瞬間だと思っています」
秋本はそう言うが、明るく自然な貪欲さが見える。それは世界で活躍していくトップアスリートとして欠かせない性質と言えるだろう。現状に満足し、失敗を恐れるようでは、厳しい世界では儚く潰れてしまう。
「高さで勝負していきたいんですけど、高さだけでは(世界で)勝てないと思うので、(石川)真佑さんとか、(佐藤)淑乃さんみたく、自分も相手のブロックを使った点の取り方をやっていかないといけないなって。それがカナダ、香港で一緒に試合をしながら思って練習してきたことだったので、今日(フランス戦)はそれが出てよかったなって思います。今まではブロックアウトを狙ってできていなかったんですが、やっぱり狙ってできるとプレーの幅も広がるので」
ひとつひとつの技の精度を上げ、あるいは新しい技術を取り入れ、彼女は殻を破っていく。その期待感はメディアの食いつき方ひとつ見ても「巨大」と言える。女子バレーの枠を超え、日本スポーツ界全体の話だ。
7月10日、秋本は韓国戦で先発出場を果たし、はつらつとした姿を見せている。日本はすでにファイナル進出を決め、石川真佑に代わっての出場だった。その大役にも果敢に挑み、3-0ストレートの勝利に貢献した。
「真佑さんみたいなことをできないので、"自分にできることを精一杯やろう"と思ってコートに立ちました。やっぱり、真佑さんがいないとラリーを取りきれないところがあって、苦しい展開もあったんですが、そこは自分が成長するべきところかなって」
秋本はそう言って顔を上げた。レシーブが乱れる場面はあったし、おそらく狙われていたのだろう。また、バックアタックを読まれていたのか、シャットアウトされるシーンもあった。ただ、レシーブがずれたあと、自らのブロックでシャットアウトしたり、気合いを入れ直したレセプションからトスを呼び込み、スパイクも決めていた。ミスはあっても、それをリカバリーするメンタルと技量を見せた。堂々の11得点だった。現時点では、その反骨を高く評価すべきだ。
2 / 3