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好評連載【ハイキュー!!×SVリーグ】で全24チームの選手にインタビュー スポーツライター・小宮良之「選手ひとりひとりに感謝したい」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 振り返って、選手ひとりひとりに感謝したい。

 男女24チームをすべてまわり、約8カ月で60人弱のインタビューを行なった。ひとりあたりの取材時間は平均約30分だったが、バレー人生を掘り下げられた。広島サンダーズの川口柊人や東レアローズ滋賀の谷島里咲など、1時間近く話した選手もいた。

 ヴィクトリーナ姫路の伊藤麻緒、PFUブルーキャッツ石川かほくの細沼綾はアイドル顔負けの容姿も話題になっている選手だが、共に『ミドルブロッカーとして立ちはだかる姿は鬼だろうな』と想像した。エアリービーズの大﨑琴未はケガ後のリハビリ中にもかかわらず、輝く笑顔で応対してくれた。心から復帰を願う。東レアローズ静岡の小野寺瑛輝は、少年時代に経験した東日本大震災の記憶を明かしてくれて、取材者として千金に値した。

 シーズン後、引退を決めた選手もいるが、それぞれが濃厚なバレー人生を生きていた。

パリ五輪前から取材している山内に訊いたことがあった。

――人生で一番、バレーをしていると感じたのはいつでしょうか?

「よくも悪くも、パリオリンピックのイタリア戦は"バレーをしていた"と思います。3セット目、あと1点取りきれなかったわけですが、"まさにバレー"というのを体現できました。結果はよくないほうに出たんですけど。あと1点取れるか取れないか、というバレーの難しさと面白さを感じました」

 その答えはコートで戦ってきた実感がこもっていた。

 今回の連載では選手だけでなく、各クラブのスタッフにも助けられた。

 ヴォレアス北海道は旭川で、廃校の体育館を練習場に利用していた。交通の便の悪い場所にあったが、人はみんな温かく、市内の中心地まで男性スタッフの車に同乗し、いろんな話を聞かせてもらった。アクアフェアリーズは、女性広報が颯爽と駅まで車で送ってくれたし、アランマーレ山形の広報は空港まで送り迎えしてくれて恐縮した。群馬の女性広報は練習見学中、自分に飛んでくるボールを機敏な動きですべて叩き落し、"くノ一"に守られる戦国大名の気持ちになった。

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