西田有志「すごく刺激的」 大阪ブルテオン、海外クラブとの邂逅を楽しんで世界への切符を獲得 (2ページ目)
【ひとつのサイクルの終焉】
4セット目の終盤、山本はヌガペトの渾身のスパイクを、ほとんど至近距離で受けている。その刹那、左腕を反応させ、上腕の外側あたりでボールを上げた。その神業が得点につながったのだが、直後、ヌガペトがネット越しに山本に話しかけていた。
「ヌガペトは『どこで、どうやって上げたんだ?』みたいなことを聞いてきました。(上腕で上げる)練習はしていないですよ(笑)。あれは、ボールが来たから咄嗟に手を出した感じですね。上げられてよかったですけど、たまたまですよ。普通は(左上腕の外側を指差しながら)腕のこんなところでは上げられないんで。ポジション取りがよかったのかなって思います」
神がかったディグ(スパイクレシーブ)は彼の真骨頂で、それは軌道を読むポジショニング力に土台があるが、片腕だけで上げるのは、もはやミステリーだ。
ブルテオンの選手たちは、単純に世界との邂逅を楽しんでいた。
「世界のクラブ、海外の選手たちが本気でやってくる、というのは、すごく刺激的でした」
ブルテオンの主砲、西田有志もそう明かしていた。
「彼らと戦うことで、自分たちのプレーレベルが上がるところしかない。特にヌガペトはバレーボール界のトップで、リスペクトしている選手で、久しぶりに対戦しても、すごく面白かったですね。バチバチなんですが、それが楽しい。彼のギアが上がると、2セット目は止められたシーンもありました。あれだけ影響力がある選手はすばらしいなって」
ブルテオンの選手たちは異国のチームとの対戦を楽しみ、世界への切符をつかんだ。
もっとも、翌日の決勝はカタールのアル・ラーヤンに0-3(19-25、22-25、17-25)とストレート負け。アジア王者にはなれていない。
SVリーグMVPのニミル・アブデルアジズと、イタリア、セリエAでも活躍したノーモリー・ケイタのふたりが、次々と急襲。ニミルは硬軟織り交ぜたスパイクが持ち味のオポジットで、ケイタはとにかく背が高く、跳躍力にも優れ、長身のミドルのブロックの上から叩きつけてくるほどのフィジカルモンスターだ。
2 / 3